この恋をどうすればいいかわかりません。

今まで悩んでたことや、直接本人に聞けなかったことの答えをもらえたような。


理由だったり過程をもらえたような、そんな風につじつまの合うものをもらえた気がした。


全て説明が付いて、すべてに合点が行く。


彼が私を好きじゃないことが基本前提だし、彼が告白をしてくる可能性なんてこれまでを振り返ると考えられない。


だからあの真剣な顔は、優しい朝日君が私を傷つけない言葉を選んで別れ話をしようとしていたというのが、一番しっくりくる。


じゃあどうして手なんか繋いだんだろう、どうして自転車からも庇ってくれたんだろう。


何かを確かめたかったのかもしれない。


私に何か、ドキドキや胸の疼きを感じるのかどうか、確かめたかったのかもしれない。


私で何か特別な心の動きがあるのかを。


手を繋ぐのも彼がきっと男の子だから。


そんな風に朝日君の事を考えたくはないけど、昔お母さんが言ってた男はオオカミなのよてきなそんなやつで、男の人と女の人が一緒にいれば必ずと言っていいほど起こる化学反応的なもので。


手を繋いだことは私にとって意味があったとしても、朝日君にはきっと特別なものなんて無いのかもしれない。


ただ、ドキドキするか確認したかっただけだったんだ、きっと。


思い返してみるとよく見かけていた。


手は繋がなくても、いつも仲のいいあの女の子達にのしかかっていったり肩に腕を回してじゃれていたり、頭に手をやってかき回してみたり...。


私には一度だってしたことの無い、そういうじゃれあいみたいなこと。


そんないろいろを私は見ていて、そしてそんないろいろを羨ましいと思っていた。


私もあの二人みたいに近付いて、朝日君に触れてもらえたらどんなに良いか見かける度に思っていた。


でも、今は羨ましいばかりでもない。


喜びばかりでもない。


そうやって触れられて喜べるのは、お互いに彼氏彼女の元に同じ気持ちがあるからなんだ。


どちらか片方だけが想っていても、一方通行じゃ何の意味もなかったんだと初めて気が付いた。


だから、


これは私がちゃんと終わりにしなければいけないことなんだ。


告白したのは私で、彼の貴重な時間二ヶ月分を私に使わせてしまった上に優しい別れの言葉まで探させるなんて、そこまでさせちゃいけない。


きっともっとずっと前から探していたのかもしれないね、気が付くのが遅くなってごめんね、朝日君。


「なるほど、そっか」


亮の返事を求めるのではなく、自分に言い聞かせるようにして呟いた。


結論がでて、後は諦めるだけになったらなんだか不思議とすっきりした気分になった。


もちろん朝日君のことが好きだから離れたくないし、限界がくるまで一緒にいたいけれど。


自分の好きだけを押しつけて自分の事ばかり考えてちゃだめなんだ。


本当に好きなら、好きな人のために好きな人のしたいようにさせてあげなきゃだめなんだと思う。


それに、そんな無理だけの“一緒”は私だって傷つくし、二人にとって何の意味もない。


いつか必ず、お別れが来るんだから。


傷が深くなる前に、今のうちに朝日君に謝って朝日君を解放しないといけない。


今まで無理に付き合わせてしまった残酷さはどうやっても謝りきれないけれど、それは恋愛音痴だということで許してもらうしかなさそうだ。

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