この恋をどうすればいいかわかりません。
朝日君ともっと一緒にいたくて、もっともっと彼のことを知りたくて、もっともっと私を知ってほしかったから、ぜんぜんおもしろくない。
その上、
「あの、朝日君っ、なんかごめんねっ。二人がすっごい失礼なことしちゃってごめんねっ」
せっかく朝日君が送ってきてくれたのに、用済みみたいにして追い返すなんてとんでもない連中だ。
腕を捕まれたまま二人に挟まれて、まるで捕獲された宇宙人状態で朝日君にぺこりと頭を下げた。
兄の不始末は妹の不始末だけど、何で亮の不始末まで私が背負わなければならないのか。
兄の友達だからしかたないのかともなにげに納得しつつ、いろんな責任をその身に受ける親って大変なんだなと大袈裟にもそんなことを思った。
「でも、ありがとうっ。ぃ、一緒に帰れて嬉しかった。また、明日...だよ、ね?」
明日で言い切れなかったのは、彼氏彼女としての明日が本当にくるかどうか毎日自信がないから。
明日は部活だから朝日君とは一緒に帰れないけど、それでも明日どこかのタイミングで会えることの裏付けがほしかった。
だからこうやって確かめてしまう。
「うん、また明日だよ」
ポケットに突っ込んでいた手を片手だけ肩まであげて朝日君が頷く。
その約束みたいなものがすごく嬉しくて。
捉えられた宇宙人な私も、出来うる限り手を挙げて朝日君の真似をした。
「じゃあな、西野谷」
「うん、ばいばい」
一つ頷いた朝日君がふっと笑って、それからどっちか迷ったあげくお兄ちゃんに向き直って会釈した。
「あ、じゃあ俺帰ります」
「ありがとな、朝日君」
自己紹介もさせずに、聞いていた名前を勝手に呼んだお兄ちゃんがひらひら軽薄に手を振った。
「後のことは俺たちに任せろ。いろいろ、教えとくから」
「いや、あの、そういうのは別に。じゃあ失礼します」
横から適当なことを言い出した亮には最後まで付き合わず、大人な対応でかわした朝日君が踵を返してさっていく。
なんて、
なんて爽やかな人なんだろう。
どうしてああ大人で、スマートな対応が出来るのだろう。
二人にからかわれて、亮にはパシリにまで使われている私なんて足元にも及ばない。
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