この恋をどうすればいいかわかりません。

 

 

まるで、


まるで、


彼氏が彼女にするみたいな行動と距離に、そうじゃないから勘違いするなとブレーキをかけてくる頭がじゃあこれは何なのかと全力で説得力のある理由を探している。


ねにかを言い足そうにしている口元は、言葉を吐き出そうとしては止め、止めては吐き出そうと開いたり閉じたりしている。


明らかに、何か言おうとしている。


私の目を見つめる朝日君の目には、困惑した私の顔が写っているに違いない。


「あの、朝日く....」


「そこにいんの、みはねか?」


朝日君の名前を呼び終わるより早く、別方向から自分の前を呼ばれた。


今日はこんなタイミングが多い気がする。


と思って声の方を振り返ると、そこには見慣れたというか見慣れて当然の兄が友達と一緒にへらへらした顔で立っていた。


「あ、なんだ、お兄ちゃんと、亮」


私が名前を呟いた時点で繋がっていた手は離され、すぐそばにいた朝日君もザ他人の距離まで遠のいてしまった。


空いた隙間に空気が通り抜けていく。


なんだかすごく寂しかった。


「みはねもやるねぇ、こんなとこで彼氏と。兄ちゃんにまで見られそうになって」


ニヤニヤの上に堪えきれないと言った様子で笑う亮。


いったい何なんだろう。

何そんな含んだ笑い方するの?


「兄ちゃんもお前の成長過程をしっかり見させてもらった」


なおもにやつく亮とその隣で腕組みして何やら頷く兄だったが、私には何のことだかさっぱり分からない。


だから、何なの?


次第に怪訝な顔になる私の眉間を、歩み寄ってきた亮が人差し指でぐるぐる擦る。


「うゃっ、何、ちょっとやぁめぇてぇっ」


亮の手を掴んで引っ張り離すと今度は頭をぽんぽん宥めるようにされた。


朝日君とは違う手つきと、後数センチでたんこぶだったからちょっと嫌な気になった。


「君、彼氏だよね。みはね初いから大変っしょ?」


私の肩に腕を回して、いじめっ子みたいに全体重を乗せてきた亮が喉を鳴らして笑う。


重いしっ。


「えっ、いや、あの」


咄嗟に話題を振られた朝日君が言葉に詰まる。


「慌てるなよ、彼氏。大丈夫大丈夫。こんな現場見られた後でみはねと二人とか男として罰ゲームもいいとこだろうから、こっからは俺らが連れて帰るよ」


「悪いことしたね、彼氏君」


二人揃ってどうしてか申し訳なさそうな顔で謝り、朝日君の肩をぽんぽん叩いてうんうん頷きあっている。


あっという間に二人の間に挟まれた私は抵抗するもあっさり拘束状態になってしまった。


なんなのっ、

なんなのっ。


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