進捗05:スライドを作ろう

和奈「やっとおわたー」


ポスターの修正を終え、デスクに倒れこむ。


悠里「私も終わり……っと……つかれた……」


呉羽「……っ。………。…………」


悠里「ちょっ!?呉羽!?」


呉羽「もう……だめ…………」


悠里「気を確かに!!」


呉羽「悠里……私のポスター……直して……」


悠里「……それはイヤ」


呉羽「なんでよーー!!」


悠里「私もしんどいからよ!!ほら、自分で頑張って!!」


呉羽「もう無理ー……しぬー……」


悠里「置いていくわよ!?」


呉羽「……置いていく……置いていかれる……つまり学会にでなくても大丈夫てこと……!?」


悠里「……和奈、手伝って」


和奈「……ええー!?」


悠里「この子、ほっといたら絶対にやらないわよ。そして学会を欠席するに違いないわ!」


和奈「そこまで確信犯なのかなぁ」


悠里「確信犯の使い方、間違ってるよ……」


呉羽「Zzzzz……」


悠里「ほら!!気を抜いたらこの子、いつの間にか寝てる!!」


和奈「ちょ!?呉羽、起きて起きて!!手伝ってあげるから!!」


呉羽「Zzzz」


悠里「まさかともうけどこの子、丸投げするつもりじゃないでしょうね……」


和奈「うそ……マジか……」


悠里「呉羽!起きなさいよ!!」


和奈「呉羽!!起きて!!」


呉羽「……うぅ……わかったよぉ……」



………………………

………………

………



呉羽「――終わったぁ!!」


悠里「あ゛~~……つかれた……」


和奈「同じく…………」


呉羽「…ありがとう二人とも!私、友情をこんなに大切に感じたの、初めてだよ!!」


悠里「……あんた、結局最後まで何もしなかったじゃないの……」


呉羽「…………何の事?」


悠里「……しらばっくれやがて!!」


和奈「と、とりあえず、スライド作りましょ?」


呉羽「え……まだあるの……?」


悠里「当たり前でしょ……」


呉羽「私達の友情はここまでなのね……」


悠里「なんでそうなるのよ!!」


和奈「ほら、つべこべ言わずにやるよ!」


悠里「はーい……」



………………………

………………

………



呉羽「…………」


悠里「こっちのスライド、この方が良くないかな?」


和奈「んー……でもそうすると説明文を書かなきゃいけなくなるし……もうちょっと図解した方がいいと思う」


悠里「いえ、ここは箇条書きにして、こちらを図にしたほうが分かりやすいんじゃないかと」


和奈「あ~……確かにそうかもしれない。どうしよう。そうしちゃおうかな」


悠里「そのほうが分かりやすいと思う」


呉羽「…………」


和奈「じゃあ、ここはこうして……って、呉羽?」


呉羽「…………」


悠里「呉羽、何してるん…………えっ」


和奈「ん?」


呉羽「…………もう少し……と、これで…………」


和奈「……呉羽……あんた何してるの?」


呉羽「……見て、わからない?」


和奈「あ~うん、わかったら聞いてないよね……」


呉羽「Share Slide(※1)に載っている、完成されたスライドを解析して自動でスライドを生成するプログラムを組んでるですよ!!」

(※1)スライド共有サイト


悠里「いや、そんなことしてないで、さっさとスライド作りなさいよ!!」


呉羽「……ふふっ!これを見て同じことが言えるかな!?」


悠里「――んなっ!?まさか、もう完成させていたって言うの!?」


和奈「わー……悠里、何かノリノリだぁ」


呉羽「この実行コマンドで、私は苦しみから解放される!!」


スタァンっっ!!

呉羽が勢い良くReturnキー(※2)を叩く

(※2)りんごさんのPCは、Enterキーではなく、Returnキーなのです


呉羽「…………」


悠里「…………」


画面には『AttributeError』の羅列。


呉羽「まっじか、これ」


悠里「……さ、呉羽?」


呉羽「ま、待って!pip(※3)叩けば治るはずだから!!治るから!!」

(※3)Pythonという言語は、pipコマンドでPCに入っていない必要なものを自動でインストールしてくれるのだ!


………………


呉羽「もう一度っっ!!」


タァンっっ!!


画面には『UnicodeEncodeError』の羅列。


呉羽「くそっ!!ジャパニーズくそっっ!!なんで二バイト文字なんだ!!」


悠里「さ、呉羽。こっちにいらしゃい?」


呉羽「い、いやぁ!!」


悠里「イヤ、じゃないでしょ?私達とちゃんとスライドを作りましょうね?」


呉羽「え、あ……た、たすけてえええええええええええ!!!」



………………………

………………

………



ドサリ。

呉羽が地べたに倒れ込む。


悠里「……なんとか、形だけはできたわね……」


和奈「あ~……呉羽、おつかれ……」


呉羽「……も……むり……だめ……しぬ……しんじゃう……」


悠里「声を発する元気があるなら、全然十分だね」


和奈「わ~……悠里、鬼だねぇ……」


悠里「何いってんの?誰のお陰で形になったと思ってるのよ」


和奈「いや、まあ、そうかもしれないけど……」


悠里「はい、とりあえずメールで提出する!!」


呉羽「う……うぐ……」


呉羽は椅子に這い上がり、ぐったりしたままキーボードを静かに叩く。


和奈「よくその体勢で文字が打てるよね……」


呉羽「……キーボードは触ったらどこに何の文字があるか、わかるじゃん……」


和奈「……分からないんだなぁ……」


呉羽はほんとそういうところすごいと思う。


和奈「とりあえず、提出できた~!!」


悠里「私も」


呉羽「同じく」


悠里「では、帰りましょうか」


和奈「だね」


呉羽「……流石にスライドは見るのに時間かかるでしょ」


悠里「……そう、信じています」


とりあえず荷物をまとめる。

なんだかんだで今日は20時過ぎに終わっていた。


呉羽「……ご飯、行かない?」


和奈「お、呉羽がそういうこと言うの珍しね」


悠里「ですね!とりあえず、いつものところ行きましょうか」


呉羽「……やった!」


………………………

………………

………





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る