吹き抜ける。

結構雑な勧誘だなと思いつつも、マネージャーという部門は頭に無かった一には与えられた選択肢がとても新鮮だった。


そしてその日の放課後、その先輩と一緒に男子バレー部を見学に行った。


ドアの向こうから、こっそり、男子バレー部には気づかれないよう先輩とひっそり見学した。


そして今日、初日。

初顔合わせなのである。


どんな日常が待っているのか想像すると、緊張してドキドキというよりワクワクと言った気持ちの方が強かった。


「男子バレー部ってかっこいい人が多いし強いからマネージャーはいつも激戦なの。希望者が多いのに決まらないのよね。噂では女子バレー部が阻止してるとかって聞いたことがあるなぁ」


そうなのだ。


この学校の男子バレー部は強豪と言われるチームでここのレベルも高く、それを束ねる監督もしっかりしているため県でもトップクラス。


しかも、イケメン揃いという女子にとってはハーレム状態。


そのうえ、バレー一色スポ根野郎ではなく割りとチャラっとした人種が多く集まっているので基本は女の子大好きなのである。


入部してきた女の子にちょっかいを出しすぎて女子バレー部からお叱りを受けることはしょっちゅうで。


そんなことばかり代々繰り返しているので、女子バレー部が仕切ることになっているのだ。


「なんかすごい」


ある意味、なんかすごいと顔がひきつる。


前の学校ではあり得ないチャラさ。


しかも強豪と来ればそのメカニズムが分からない。


「かっこいい人ばかりだからミーハーで希望する人をバッサリ切ってるらしいよ?」


だったら男子バレー部なんだから男子にお願いすればいいのだが、これはこれで厄介で男子マネだとやる気が削がれるらしいのだ。


実際男子マネージャーのと気の勝率はだだ下がりで、活気も丸でない練習内容になっていた。


と、入部初日の今千夏から聞かされて気分もだだ下がり。


そんなチャラいバレー部.....、とあまり気分が乗らない。


「でも一ちゃんはその女子に気に入られたんだから自信もってね!!」


なんの自信を持てばいいのか、深読みすれば男子が目もくれない見た目だとそんな意味が闇に潜んでいる気がして複雑だった。


が、別に容姿に自信があるわけでもなく見た目で得をしたこともないので妥当な線かなと納得する。


「よし、頑張るぞっ!」


二人でガッツポーズをしたところで始業ベルが鳴り、程なくして担任がSHRのために教室へ入ってきた。


まだ慣れきらない学校生活に一日でも早く慣れなければと、意気込み新たに授業に望んだのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る