第4話 交わせた
俺は、どう行動すればいいのだろう。
彼女を助けるためには何をするべきだろうか。昨日の夜にいろいろ考えたが、一番はやはり、あの事故が起こる道を通らないことだ。いたって簡単だ。
帰りのことで頭がいっぱいだった。彼女とのデートなのに全然集中出来ず、思い出も作れず、ただただ消化しただけの形としてデートを終わらせてしまった。こんなんだから、女の子と付き合えないのだろうね。そう言われるのは慣れてはいるが言われてもしょうがない。
「じゃあ、帰ろうか。」
「途中まで送るよ。」
彼女の帰り道もとい、通り道はデートの最中に話題として取り上げ、聞き出していた。まあ、一度経験してるから聞かなくてもいいんじゃないかと思うが、念のために聞いておいた。
「今日はありがとう、買い物に付き合ってくれて。とても楽しかったし、よかったらまた今度誘ってもいいかな?」
「全然いいよ、私なんかでよかったらいつでも。」
なんて嬉しい返事なんだ。だが、そろそろだ。のろけている場合ではない。
「あのさ、この道最近物騒だから違う道通らない?」
「えっ?、そうなの?でも安達くんが居るなら大丈夫じゃない?」
「いやいや、出来れば危険からは避けたいじゃん。万が一のことを考えてさ、俺でも駄目だったらあれだしさ。」
「へー、なら違う道行こうか。」
男としては情けないだろうが、その代価は大きい。なよってる暇はない。
「じゃあ、こっちで。」
これで、あの事故は起こらない。俺も彼女も死なずに済む。
「あのさ、安達くん私ね話したいことがるんだ。」
そうか、そういえばそんな話を聞かされながら死んだっけな。
「私ね…。」
そういう彼女の後ろにはあいつがいた。
「あれ、安達じゃん。その女の子は誰?
どういう関係?」
よりにもよってなんてタイミングで現れるんだ。
「あれ?藤川くん?久しぶりだね。」
「あぁ、君はあの時の。あれ?もしかしてデート?いいねぇ。」
「デートっていうか、買い物。」
「へぇ、そうなんだ…」
藤川の声が少し低くなった。そうか、藤川もそういう思いなのか。
「だったらさ、俺との買い物にも付き合ってもらえたりするのかな?」
「うん、いいよ。その話はまた今度話そうね。」
なんか、俺は仲間はずれになってる。こういう時どうすればいいのかなんて誰も答えなんか導くこと出来ないよね。
「じゃあ、また連絡するよ。今からはちょっと用事があるから、俺はこれで失礼するよ。」
「うん、またね。」
「安達くんも、また今度。」
「あぁ、また今度。」
そう言って、藤川はその場を去っていった。
「じゃあ、帰ろうか。」
彼女はそう言って足を動かした。その後は何気ない会話を交わし、駅まで送って別れた。とりあえず、死の結末を迎えずに済んだだけでも大きな成果を上げたと言えるだろう。そうして俺は家に着くなりベッドへダイブした。
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