岸咲暮羽†トリガーハッピー(後)
人の悪感情を集めて生まれる、異形の怪物の総称。それらは、主に人の影に潜んで暮らしている。
小さい
その成り立ちは割愛するが、魔法少女とは、その成長した
しかし、暮羽には一つ、どうしようもない欠点があり……それこそが暮羽の強さの一因なのだが……
「かんたんに、壊れないでくださいよっ!」
正体を現した
グレネードは
「まだまだぁっ」
ミニガンが弾切れを起こすと、直ぐにそれを足元に捨て、マントの内側から対戦車ライフルを取り出し、碌に狙いも定めずに放つ。放つ。放つ。
岸咲暮羽は、銃火器による破壊に快感を覚える異常者。それ故、
「……埒があかない」
そこで暮羽は、一旦
相手が高速移動に適さない像をしていたのが幸いしたか、暮羽は
「……そろそろ、警察が来るかもですから」
そして、マントの内側から、
やはり、暮羽の口元は笑っており、これから行う破壊を楽しみにしている事が見て取れよう。
岸咲暮羽が手に持つのは、中身を液体で満たされたガラス玉。無色透明のそれは、肉眼での視認は困難である。
暮羽はそれを、
そして、
ただでさえ一滴を爆発させただけでガラス瓶を破壊する威力を持つそれを、魔法少女の魔力で強化し、更に圧をかけて爆発させればどうなるか。その爆風を至近距離で食らった場合、いくら巨大かつ硬質な
その通り、
「……はぁ」
「不完全燃焼、ですね……」
そしてまたため息をつく。
やはり、市中での戦闘だと思い切りぶっ放す事が出来ない。そんな、物足りないと言う感情を暮羽は感じている。
どこかスッとしない気持ち悪さを感じながら人間に戻る。直後、ポケットから微細な振動を感じた。
そう言えば、電話をいきなり切ってたなと思いながら、ポケットからスマートフォンを取り、電話に出る。
『暮羽! ……やっと繋がった。さっきの爆発って、もしかしなくても暮羽よね?』
「あ、はい」
相手の声色に押され、素っ気ない返事をしてしまう。しかし、向こうは気にしていなさそうだ。いや、気にしていられない程に焦っている。
『ああもう、また仕事が増える……って、それは別に良いの。良くないけど』
「どうしたんですか?」
『ええ、時間が無いから簡潔に言うわ。東の埠頭に
「分かりました……って、もう切れてる」
はあ。
三度目のため息をついてから、ぐっ、と背伸びをする。その後、軽く屈伸をし、
「……指令も貰っちゃった事だし、殲滅に行きますか」
そして、また魔法少女になり、東へ向く。
その顔は、やはり笑みを湛えていた。
to be continued…
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