第3話

リサお姉さんと知り合ってからしばらく経った夏の日


その日は大きな台風が来ていて、学校が休みになったのは嬉しいけど、もちろん外に遊びに出ることはできずに、テレビでリポーターが強風に耐えて各地の状況を伝えているのをぼんやりと見ていた。


そうだ、これだけ風が強ければあの風車も少しは回ってるんじゃないか、子供の浅知恵でそんなことを考えてしまった僕は、こっそりと雨ガッパを着込んで、自転車に乗りいつもの公園へ向かったのだった。


風車のある公園の遊歩道。普段はジョギングコースなんかにピッタリなのだけど、今日に限っては道が水没して、自転車でも進むのが大変だ。

やっとのことで風車が見える場所までやって来たところ、驚くべきものが目に入ってきた。

なんと、今まで開いたことがない風車の壁面の扉が開いているのだ。

びっくりした僕は自転車のタイヤを水流に取られ、小川と化した道にダイブしてしまう。

運の悪いことに、道から更に地面が低い方向に落ちてしまい、もちろんその分水深は深いわけで。

やばい、立たなきゃ、でも水流があって立ち上がれない!

パニックになった僕の耳に誰かの声が聞こえた、ような気がした。

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