第2話

風車の展望台に現れたそのお姉さんは中学生か高校生か(女の人の年齢はよく分からない)、髪の毛は金髪に近い茶色で、背中まである髪をゆったりと1つに纏めていた。目は大きくパッチリとしていてその奥には鮮やかな青い瞳がこちらを見つめている。


思わず見惚れてしまった僕と、この子なんでこっち見てんだろうみたいな感じのお姉さん。

ハッ、変な奴だと思われる。

そう考えて手元のゲーム機に顔を向けたところ…

「ねえきみ。」

声をかけられた。


「この風車って回らないのかなあ?」


確かに今日は風が吹いているけど、風車の羽根はピクリとも動いていない。


「これ・・・あの羽根は風じゃなくて電気で動くやつだから。前は・・・確か日曜日とかには回ってたけど、最近ずっと動いてない、と思う。」


人と話すには心の準備が要るものだ。急に話しかけられた僕はなんだかギクシャクしながら、それでも聞かれたことには答えた。


「そうなんだ…残念だな」


お姉さんは少し寂しそうな顔で遠くを見る。


それから後、僕とお姉さんはなんだか仲良くなった。お姉さんの名前はリサ、スペイン人だそうで、このスペイン風の風車に引かれて来たらしい。

「昔からゆう君(僕)みたいな弟が欲しかったんだ~。」

とか言われて、僕にはリサお姉さんと同い年の本当のお姉ちゃんが居るけれど(リサお姉さんは中学一年生だったらしい)、乱暴でヒステリーなものだから優しいリサお姉さんが僕は大好きだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る