回らない風車と青い目の彼女

Enju

第1話

僕の町には風車がある。


風車と言っても発電用の細長いのではなく、

オランダにあるような茶色い六角形のやつでもなく、

スペイン風の、白くて寸胴な風車。

ドン・キホーテが巨人だと思い込んで突撃したやつ、と言えば分かるかもしれない。


それなりに大きな人工池と、それなりに広いグラウンドを持つ公園の中にあって、壁沿いに取り付けられた階段を登るとその上は展望台になっているのだけれど、実は周りの立木とかの関係で殆ど田んぼしか見えないちょっと残念な場所。

この町のシンボルになるべく作られた風車だったけど、人が殆ど来なかったため、小学5年生の僕が携帯ゲーム機なんかを持ち込んで遊ぶには丁度良い場所だったのです。


その日も風車の展望台で遊んでいたところ、階段を誰かが上がってくる音がしました。

友達が来たのかなと思ってあまり気にしていなかったのだけど、階段から姿を現したその人に僕の目は釘付けになってしまった。


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