第91話

セリスは俺の腕をつかみ、ここで俺ではなくセリス自身が戦いたいという意思を示してきた。

 やっぱり昔からの知り合い?らしいし、年代も一緒くらいなのでよく話した仲間意識ってのが強いのかもな。

 だが、俺は譲らない。

「いいから下がっていろ」

「でも・・・!」

 俺に強く言われても引かないセリス。

 やっぱり昔馴染みは何か気づくものがあるのだろうか・・・

 ああ、こんなこと言いたくねえんだけどな・・・

 俺はセリスの目を見て口を開く。

「知っている分やっぱり手加減しちまうから離れていろって言われたいのか?」

「・・・!」

「それとも、お前じゃ今のあいつは説得できる力あんのかって」

精霊化を使った影響で今にもフラフラになっているセリスがどうにか必死に立っているのも分かるからこういう風にしか俺には言えなかった。

 あーもうこういう感じで言うといったも同然じゃねえか。

気づかせるって難しいな。

タウにもうまくフォロー入れないといけないのにな。

あっちの方が今回は重症だしな。

 やっぱりうまく教えるの苦手だ。

昔から諭そうとするとうまくいかないし・・・

特に男は苦労したなあ・・・

なぜか半ギレされることも多々あったなあ・・・

そのあと殴られそうになったこともあったっけ?

 師匠とか似合ってねえよ。でも、師匠っていうのからにはしっかりというところは言わないとな。

「もちろん、セリスがあいつを止めたいのも分かる」

「なら!」

「だがちゃんとあの子のためを思うなら俺に任せろ」

「・・・あの子は昔から冷静っぽく見えるのでありますよ」

「・・・」

 セリスは少し昔のことを思い出し、苦笑いする。

「どんなことがあっても自分のことを表に出さず、自分がやるべきことを考えられる」

「・・・」

「でも、明らかに今回は違っているのであります。あんな感情的になって戦っている相手に敬意を払わないなんてあの子らしくないんであります。だから」

 セリスは自分ではどうしたらいいかわからないことも自分ではなんでそんなことになっているのかもわからないということを痛感していた。

 拳をぎゅっと握りしめ必死にこっちを見つめている。

 そして、俺に向かって真っすぐと

「あの子を助けてあげてください。私にしてくれたように」

 願いを込めて告げた。

 ・・・ああ、もちろんだ。だから、俺はセリスの頭を撫でて、


「安心してろ」


 弟子の頼みを全力で果たそうと思った。

「調子になるな!」

 お、クールキャラがはがれてきているが、大丈夫か?

 セリスをアストレアのそばに転移させた後、俺は突っ込んでくる剣鬼の娘を待ち構える。

「私の剣は堅牢なり」

 お、魔剣が光ったな。魔剣作ってて知ったんだが、何か能力を発動させる系の魔剣は発動キーワードがあるらしい。

 俺の魔剣は常時発動だったから知らなかったんだよな。

 ま、キーワードでたってことは、出し惜しみなしってか。

 じゃあ、こっちは、その魔剣の効果見させてもらうか。

 俺はとりあえず、鉄の剣を構える。

「鉄の剣で私に勝てると!」

 剣鬼の娘は俺の出した剣が普通の剣だと気づき、怒りを露わにしている。

 距離がねえからあっちがすぐに近づいてくるな。

 おそらく身体能力強化系の魔法も使っているだろうしな。

 ・・・鑑定してみるか。

 鑑定した内容見たらこんな感じだった。

 名前:ミア レベル40

 職業:魔剣姫

 力:121000(+200000)

 器用:5100(+100000)

 耐久:42100(+200000)

 敏捷:181100(+200000)

 魔力:4100(+200000)

 魔耐:5100(+200000)

 スキル:剣鬼術 レベル10 身体強化魔法強 レベル40 剛力強 レベル20 

 堅牢強 レベル20 俊足強 レベル20 龍殺し レベル45 怪物殺し レベル86 

 魔剣開花 レベル5 鬼の系譜 レベル2 魔女の系譜 レベル2 

 姫の威厳 レベル2 百姫繚乱 レベル1 魔鬼化 レベル1


 見てよかったわ。

 まあ、うまくいけば、あとで見る時間作れると思うが。

 レア職業みるとテンションが上がる。

 やる気が出るってわけだ。

 魔剣姫って異世界テンプレ、マンガで言ったらヒロイン枠だな。

 セリスといい、職業だけ見たら俺の感性に引っかかる娘たちだな、剣最強メンバー。

 それにやっぱり剣鬼の娘ってだけあってかなり戦闘向きのステータスだな。

 ・・・俺に就く場合はどんな表記されるんだ?

 さすがに男に姫とかつけたら神に訴えたいわ。

 うーん、詳しいことを見る時間はなさそうだな。

 そんなことを考えていると剣鬼の娘・・・言いづらいな。というか長い。

 もう普通に名前でもう呼ぼう。

 で、何が起きたかって言うと、ミアは俺の前から消えた。

「油断しすぎ」

「いやそんなことないぜ」

「な・・・」

 後ろから来た剣を受け流す。

 耐衝撃だから大方真正面から受けると剣が折れるんだろ。

 そもそもせっかく後ろから攻撃してんのに声出すとか。

 まったくセリスといい、今の剣最強はまだまだ鍛えないとなあ。

 俺はのんびりいろいろな職業で生活したかっただけなんだけどな。

 最近のトラブル続きに少しため息が出そうになる俺だった。

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