第65話
side タウ
『お主たちはもうハルオミとはキスをしたのか』
えと、あ、大精霊様は何を言っているのですか?!!!
キスなんてなんてことを・・・
私は極力この動揺を隠すように表情を隠した。
私が抱いている主様への感情はあくまで恋慕ではないと思ってほしい。
まだ私にはその感情を出していいものではない。
そして、この表情を隠すには言葉を発することはかなわなかった。
それを最初に言葉にできたのはアストレア様だった。
「な、なにを言っているのですか?!シルフィード様?!!」
「そ、そうよ、シルフィ!急に何を聞いてるの?!」
『なにって・・・セリスもハルオミに惚れているからのぉ』
「ふえええ?!!!」
おっと、さらに爆弾発言。
それはここにいる方ならもうわかっていましたが。
熱のこもった視線を修業が終わった後にしているのははっきりとしてますし。
私知ってますよ。朝のランニング後の汗だくな主様をこっそりとわくわくどきどきと眺めているのを知っています。
シャワー後主様半裸で出てくるので恥ずかしい顔しながらじっと見ているのも知っています。
むっつりですよね。
毎回その姿を見るために飛び込んでいるアストレア様みたいになられても困りますが。
ちなみにそのときシル様は
「アストレアお姉ちゃんとセリスお姉ちゃんは相変わらずだね!」
・・・分かって言ってるのでしょうか。
それでも今のタイミングはなかなかですね。
『いや、でも、せっかく弟子にもなったことだし、そこらへんは把握しておきたいじゃろ?』
「なんで?!」
『そりゃ、あれだけの男の女になれるのであれば、もちろんよいではないか』
「ななな!!!私は別にそんなつもりでは!!!!」
「「「それはそうです」」」
「ちょ!そこは同意なんですね、皆さん!?」
それはもちろんですよ。何を当たり前なことを。はっきりと言いますが、さらっとやることが紳士なんですよ。主様は。
しかも戦っているときのあの姿は本当に素晴らしいですし。
『というわけでな、もしもこの中ですでにハルオミと恋仲になっているものがいれば、先に断わっておかないといけないだろう?もしいないのであれば、チャンスだぞ、セリスよ』
「チャ、チャンスって・・・」
『もちろん、ハルオミの妻にじゃよ』
「つつ、妻?!」
「ちょ!何言っているのですか!」
ここでアストレア様。さすがですね。その通りです!妻なんて何を言って、
「一番の妻は私です!!!」
「「そこですか?!」」
ああ、やっぱり安定のアストレア様でしたよ!
そんな私の気持ちを余所に自信満々で胸を張っているアストレア様だった。
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