第63話
side タウ
「主様大丈夫ですかね・・・」
少し不安になって後ろを振り返る。
「なんやかんややる気になっていたので大丈夫ですよ」
「アストレア様意外とさっぱりしてますね」
いつもは過剰なほどデレデレなアストレア様が楽しそうに言ってくる。
いつもこのくらいなら主様ももっと優しいと思うのですが・・・
「ふふ、ハルオミ様はなんやかんや容赦ないですけど、それがまた良くてつい・・・」
・・・やっぱりそっちが本質ですか・・・というよりも、
「やっぱり心読むことができるんですね」
「ふふ、どうでしょう。さっきのもただの独り言。もしくはなんとなくそう思ったからかもしれませんよ」
・・・本当に読めない人です。さすが神様ということだけあります。
「タウお姉ちゃんどうしたのー?」
不思議そうにこちらを見て首をかしげるシル様。その愛くるしい姿は何とも癒されますね。
主様が親バカになるのもうなずけるような気がします。
「いえ、ただアストレア様は相変わらずおかしいなと」
「タウちゃん?!さらっとひどくないですか?!」
「えーそんなのいまさらだよ、タウお姉ちゃん!」
「シルちゃんもですか?!」
おっとここでシル様が容赦ない一撃を・・・ハルオミ様に似てきましたかね・・・
そんなことを話しているうちに私たちは階段を昇り終える。上がった先には大きな扉があり、そこの扉には明らかにヘファス様の弟子が書いたと思われる文字で『執務室兼客間!!』と書かれた看板が掛けてあった。
「ここですね」
「そうみたいじゃな」
「お菓子ー!アストレアお姉ちゃんに反応するよりもお菓子~!」
「ふふ、いい反応と成長をしてますね」
「小さな女子に辛辣にされていい反応と言ってしまう賢者殿は本当に残念さが増しますな」
「お師匠様・・・それを言ってもスルーしてくるのがこの方達であります」
各々言いたいことを好き放題言いながら、部屋に入ってのんびりと主様を待つために扉の中に入っていく。
そこはヘファス様の見た目とは違い、かなり綺麗に整理されていた。
そこにはお客様が座れるようなソファーがあり、そこには数々のお菓子が置いてありました。
「わあー!!ヘファスのおじじ準備いいー!!!」
「ですね、これはシルちゃんのお気に入りがたくさん・・・ヘファス様、最初からハルオミ様にここで作業させる気満々だったんですね」
確かにアストレア様の言う通り大量のお菓子があることから前からハルオミ様に剣を打たせる気満々だったのですね。
・・・よくよく考えてみれば大体ヘファス様が来ても用事が達成できたことないような気が・・・本当に不憫な・・・
そんなことを楽しそうにお菓子を食べているシル様を見ながら思う私であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます