第21話

「いやいや、そんなことさせるわけないだろ」

「!!お主・・・」

そんなにびっくりすることないだろ。まあ、一応念のために発動しておいたやつだからびっくりはするかな。

噛みつこうとしたギルド長の牙を防いでいたのは俺の体にうっすらとまとわりついている空気の塊だった。

「・・・空間魔法まで使えるとは・・・ますます気に入った」

「気に入ってくれるのは嬉しいのですが、いい加減離してくれませんかね」

「お前が正体を明かせば」

「いやです!」

バリン!

ふう・・・面倒だがバインドって空間魔法で破れるんだな。いけるかわからなかったからやってみたけど新しい発見ができた。しかし、拘束魔法かあ・・・いいなあ・・・ほしい。なんかあちらさんもやる気だし、せっかくなら油断したところで鑑定しておきたい。

「拘束魔法まで破るとは・・・ふふ、ならこれならどうだ!」

む、なんだ・・・周りが霧だらけに・・・まさか複合魔法?っていつの間にかギルド長がいねえ。

「ふふ、これが私の力だ・・・」

ふむ、おおかた吸血鬼特有の霧になるってスキルだろうな。まあ、こういう時はきまって

「な…」

後ろだろ。今の声からしてみてもビンゴ。思いっきり腹に銀の剣刺してやったよ。うーん、引き抜いてみるか。

「ぐぅぅぅ!」

お、治ってく。でも、少し治りが遅いのか?さっきバインドはがした時に軽く風魔法で切りつけたらあっという間に治っていったのに。

「ぐぅぅぅ、なぜ貴様銀の剣を…」

「吸血鬼の弱点だろ?特別製とかなら効かないだろうけど、試しにやってみようと思っててさ。買っといた」

まあ、いつ襲われてもいいように銀の剣は買っておいたんだよ。薬草以外にもモンスター倒した分だな。しかし、銀の剣が多少効くってことはの吸血鬼よりは上かな?確か吸血鬼ってラノベとかなら強い順で、始祖、神祖、真祖、上級、中級、下級って感じだっけ?色々なことできるところ見ると真祖あたりかな?

「やはり、面白い!」


ゴク。


あ、なんか考えてるうちに水筒からなんか飲まれ、


「さあ、セカンドラウンドだ!」

「うお!」

さっきより速くなってる!うわ、もしかして血飲むと強くなるスキルか!

「ふふふ!どうだどうだ!」

「ギルド長の癖にいきなりこんなことするのかよ!今更だけどさ!」

「面白いのと興味があるのさ!」

「そうですか!」


ザン!


よし!腕を…っておいおい!


「ふむ!この状態の私を斬るか!」

「いやいや、何であんた銀の剣で…うわっ!切ったのにそんな治りはえーんだよ!」

「私のスキルさ!」

「あーそうですか!」

クソ!さすがにギルド長やってるだけあってチートスキル持ってんな!

…はあ、とりあえず部屋で戦うのは得策じゃないな。

俺はそう思い、


ガシャン!


「な!」


窓から飛び出した。


「く!空間魔法で逃げる…」

「訳ないだろ」

「!」

俺は付いてきたギルド長の腕を掴み、一緒に落ちた。


バキバキバキバキ!


うっわ。空間魔法でコーティングしてないとああなるのか。


「ガァァァ!どこまでも!」

「うっわ。回復はえー」

「それについてくるお主は何者じゃ」

「通りすがりの冒険者です」

「…フハハハハ!いいだろう!私の本気をみせてやる!」

そういうとギルド長は


ゴクゴク!


自分の水筒の飲み干した。


「さあ、ラストステージ…え?」


さらに戦闘態勢に、入ろうとしたギルド長が止まり、


「ああああああああああ!」


崩れ落ちた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る