第20話
「よし!早速クエストだ!」
「で、どんなクエストにしたんですか?」
アストレアが俺に聞いてきた。
「やっぱり最初は・・・薬草集めだろ!」
「・・・なんでですか?」
「え!だって異世界転生ものの定番じゃん!」
どの異世界転生物でもやっぱり最初は薬草集めて頑張っているか、いきなり超強いモンスター倒すかどっちかだろ。
「だから、今回は地味でもやってみたいんだよ」
「地味なのは認めるんですね・・・」
「イセカイモノ?」
タウだけついていけてないみたいだ。今日の夜にでも話してやろう!
「さあ、薬草を取りに行こう!」
「ここがハジメノ森か」
「まんまですよね」
うむ、まったくだ。だが、それがいい。
「キャラブレてますよ」
「アストレア様急にどうしたんですか?」
タウは心読んでこないからな。そのまま変人扱いされるといい。
「心の中でも辛辣です」
キラキラした声で言うんじゃねぇよ、変態女神。久しぶりだから油断したわ。
「ふふ、油断大敵ですよ」
「だから、誰に言っているんですか?」
タウが怪訝な顔している。その調子だ、バレてしまえ。
そんなやり取りがありながらも俺たちは薬草取りを開始した。まー途中でスライムやらゴブリンやら出てきたが、大した相手じゃないから薬草がたっぷり取れました。で、薬草取り終わったからギルドの受付のお姉さんがかなりビックリしてたね。だって言われた10倍は取ってたし。え、その後?普通に宿とりました。部屋2つとって美味しい夕飯食べて、風呂入って、アストレアを縛り上げて、早めにベッドに入りました。え、忘れてること?ないだろ?
「おい、小童スルーとかありえんじゃろ?」
おかしいな。目の前に金髪紅眼の幼女がいるぞ?
「…おかしいな、フラグなんて建ててないぞ?」
「いい度胸じゃな?」
…おかしいな、見なかったことにしたはずなんだが。
「分かりやすいやつじゃな、そもそも引っかかったからいやいやでも来ると思ったらスルーしてくると思わんかったよ」
いや、めんどくさいです。
「めんどくさいって顔じゃな」
…そんなわかりやすいか、俺?
「ああ、分かりやすい」
今のも顔に出てんのか…
「で?」
「で?とは?」
「お主の正体じゃよ。明らかにただの剣士じゃないだろう?吸血鬼って言葉がすぐ出てくることがおかしい。普通は儂を見て、勘がいい奴でも最初出てくるのは魔女じゃ」
あー確かに…若作りするなら魔法で若作りするもんな。
「それなのにお主は吸血鬼といった。それは何故じゃ?」
「だから、たまたまそう思っただけですって」
「…強情じゃな。まあ、良い。バインド」
ガシン!
俺の手足に拘束魔法が発動された。
「拷問でもする気ですか?」
「いや、儂にはそんなの必要ないのじゃ」
そんなことをギルド長は言うと、彼女の口から立派な牙が見える。
「もう、隠す必要もないから言っておこう。儂はな、吸血鬼じゃ。しかも高位のな」
「まじすか」
「やっぱり冷静じゃの。しかし、これを聞けば変わってくるじゃろ」
「??」
「儂のスキルにはな、吸血鬼特有の相手を従わせるスキルがある」
「!」
「さあ、教えもらおう、お主の正体を」
そして、ギルド長は俺の首に噛みついた。
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