第12話
「うわぁ、なんて悪い笑顔…」
こんにちは。今回は私アストレアがナレーションを勤めさせていただきます。何故かって?それは、目の前の光景とハルオミ様の思考がひたすら「楽しい」「いいね」「もっと来い」だからですよ。なんであのミノタウロスを相手にしてあんな顔と思考ができるのでしょうか…
さあ、さきほど、ハルオミ様は吹き飛ばされて間一髪の所だったのですが、今はどんな状況かと言いますと…
圧倒的な戦力差をみせつけています…
「グモオオオオオ…」
ミノタウロス相手にハルオミ様が。
さきほどまで傷一つなかったミノタウロスだったのですが、もうその面影はどこへやら。足は岩の楔で固定され右腕は氷に覆われ使い物にならず、片目には土の槍が通っていた。
この惨状になるまでを私は全て見ている。しかし、未だに前の光景が信じられないのです。本当は今回のミノタウロスに1回やられてもっと鍛え直してからと思っていたのですが、そんなことお構い無しにぶち壊すハルオミ様はさすがだと思う。
でも、持っているスキルは私の劣化版が多いのにそれを駆使して明らかにあるレベルさを覆していく。
最初は本当に一瞬の出来事だった。ハルオミ様が折れた剣の破片を掴んだと思ったらミノタウロスが目を押さえてよろめいたのだ。おそらく空間魔法でミノタウロス頭上に鉄くずをばらまいたのだ。よろけたことを確認したハルオミ様はミノタウロス方に駆け抜ける。ミノタウロスもそのことに気づき、斧を振りかざすが、
「遅い」
ハルオミ様は更に加速した。明らかに魔法ではないその力を発動したことに私は驚いた。
「今のは…」
思い当たる節があった私はすぐに鑑定を使いハルオミ様を見ることにした。
すると
名前:ハルオミ レベル30
職業:ハイウィザード(神)(仮)
剣士 魔法剣士
力:550
器用:500(ハイウィザード完全取得まであと9500)
耐久:450
敏捷:500
魔力:1000(ハイウィザード完全取得まであと9000)
魔耐:800(ハイウィザード完全取得まであと9200)
スキル:鑑定改 レベル2 経験値増加 レベル3 言語理解 レベル3
鑑定弱 レベル3 経験値増加弱 レベル3 隠蔽 レベル4
神々の加護弱 レベル3 魔法[全属性]弱レベル10
複合魔法弱 レベル10 回復魔法弱 レベル10 付加魔法弱 レベル10
神聖魔法弱 レベル10 空間魔法弱 レベル10 無詠唱弱 レベル6
魔力回復上昇弱 レベル15 魔力操作弱 レベル15 隠密弱 レベル6
俊足レベル5 剣技 レベル3 魔法付加[剣]レベル5
「おお」
いつの間にか剣士がついてます!それにハイウィザードから魔法剣士にまでなってる!やっぱり、さっきの動きはこれだったんですね。そして、ハルオミ様は岩の楔を作りミノタウロスの両足に深く差し込んだ。
「グモオオオオオ!!!」
悲鳴を上げるミノタウロスは動こうとするがそれをさせまいとハルオミ様もう2本ずつ楔を打ち込む。
ズシン!
動こうとしたミノタウロスは急に止められた足のせいで前に倒れ込んだ。
どうにか応戦していたミノタウロスだったが、そこから戦況が完全に傾いた。ミノタウロスが顔を上げたその先には
「アースランス」
土の槍を持つハルオミ様が待っていた。槍とは言えないかもしれないほど小さな槍だったが、ハルオミ様が狙っていた場所に刺すには充分だった。そこは
ザシュ!
「モ?…オオオオオオオオオォ!!!!!」
ミノタウロスの右眼。
深く突き刺さる槍はミノタウロスに更なる悲鳴をあげさせるの充分であった。ミノタウロスは自分の敵を改めて認識しようとするがミノタウロスの視界にはその敵はいない。しかし、次の瞬間敵がどこだかやっと分かったミノタウロス。その敵は
「これならこの攻撃も通るだろ?」
自分の腕に手を添えていた。振り払おうとするミノタウロスだが、
「アイスブレイク」
もう手遅れであった。ミノタウロスの右腕は氷に覆われ動きを止めた。その手には斧。斧は握る力を失う右手を叩き砕いた。
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