第10話
「残念でしたね」
「まあ、しょうがない。ゴブリンに会えただけでも上々だ」
ゴブリンを仕留めてからその後はひたすらスライムとゴブリンばっかりであった。この後に気づいたことなのだが、ここは隠しエリアみたいなものでゴブリンは棍棒以外使わないし、誰かから身を守る必要もないから進化する必要もなくただのゴブリンしか出ないのだということに。まあ、おかけで戦う練習や生物を殺すことに少しずつ慣れてきた。
最初は魔法で倒していたから殺す実感というものがなかったのだが、それではいけないとアストレアが話をしてきたので今は付加魔法で強化しながら鉄の剣で戦うようにしている。まだ身体能力的にはどうにかなるのだが剣が上手く使えない、どうしても動きが雑になってしまう。だから、肉切っている感覚が強くて最初は辛かった。でも、おかげで死に対する恐怖を忘れることはなくなったのだか、それでももっと強くなりたいと思うと剣の師匠が欲しくなっていた。
「なー」
「なんですか?」
「この異世界で一番強い剣士って誰?」
「急にどうして?」
「いや、今の剣さばきだとまだ弱いしさ。その人に会えるように頑張ろうかと。で、ついでに弟子にしてもらう」
「力は剣鬼、技は剣聖」
「なにそれ?」
「この世界の一部で言われていることの一つです。剣ならこの2人ですかね」
「なら、会いに」
「却下です」
「なんでだよ!?」
「それは内緒です」
「なんだそれ…」
「…何故今の代はあれなのか…狙ってない…」
「ん?」
「何でもないです!さあ、続きです!」
その後聞いても答えてくれなかったので自分で探すしかないなと心に決めた俺だった。
そんな感じで進んでいくととうとう一番奥までたどり着いた。
「ここがこの洞窟の最後…」
「ゴブリンがいたから最後だけダンジョン化してますね」
「ダンジョン化?」
「はい、ここのようにモンスターが集まるところにどんどんモンスターが作られる場所の事をダンジョン化と言います」
「ほお」
「だからここにきたら同じモンスターと戦えるんです!」
「ほうほう」
「なにが出てくるかは入ってからわかります。ここがあなたのスタートラインです」
「スタートライン?」
「正直もう死んでほしくないんですよ。だからこの世界でちゃんと生きられる訓練をしていきました。もう誰かのために死んでほしくないんです」
「要するに異世界転生の最終試験って訳だ」
「そういうことです」
「やってやるよ」
「はい、頑張ってください!」
「じゃ、行くとしますか」
そして、俺は扉を開けた。
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