First memory 68
= memory 68 =
9時前にSHINの部屋の電気がついた。
あの窓でまちがいないよね。
サムネイル10本は出来上がっている。
時間経つのわかんなかったな。
企画書の下書きみたいなのもできた。パソコンで打って持って行ったら、ゴリ、誉めてくれるかなぁ。
荷物をまとめて、SHINの部屋のチャイムを鳴らした。
出てきたSHINはすごくびっくりしてたけど、うれしそうだったから嬉しい。
7時頃から公園にいたことを言ったら、謝って合鍵をくれた。
携帯電話の番号とメールアドレスも教えてもらった。
お兄ちゃんとの秘密の携帯電話にSHINのアドレスや電話番号を入れるのは、ダメかもと思ったから手帳に書いた。自分で買ったら入れよ。
合鍵、ちょっとうれしい。
勝手に入ってもいいんだよね?これから。
SHINにも〈crazy night〉の話を聞いてもらった。
昨日の夜、ゴリに言われたこと、今日言われたこととか。話すのへただから順番めちゃくちゃ。でも企画書を見せたら案外すっとわかってくれた。
『で、僕が写真撮るの?このサムネイルみたいに?』
「うん!どれが好き?」
SHINは10本のサムネイルから2つを選んだ。
「じゃ、これになるように頑張ってゴリを説得する!」
SHINはそれには答えずに、
『晩御飯食べたの?』
って聞いてきた。あっ、食べてないや、忘れてた。
『じゃあ、なんか買ってくるよ。僕は食べてきたし。』
って。カバの話を思い出して、自分で行くって言った。コンビニでカップ麺とか。
SHINが食べないならそれでいいもん。明日の朝御飯は私が作ろう。
学校に遅れないように早起きして。その材料も買ってこよ。
私がカップ麺とサラダを食べている間、SHINは私の企画書を読んで、サムネイルを見ていた。
チケットのデザインやリクエストカードのデザインも。
シャワーのあと、SHINのパソコンを借りて企画書を作ってみた。
でもなれないPCで打ってるのに、SHINが背中から抱きついてくるから、なんか途中でできなくなっちゃったよ。USB に写して残りは明日学校で作ろう。
初めて使ったPC だから、わからなくてもたもたしながらやっと保存ができた。
「できた!」
って言ったとたんに、SHIN が抱きかかえてくれた。
これはいわゆるお姫様だっこじゃないか!
こんな風にだっこされるのは初めてだ!
ちょっと怖くてSHINの首に腕を回してしがみついた。
kissしながらそのままベットに運んでくれる。
首に回した腕をずっとほどかなかった。
そうしていたかったから。
そのまま強く抱き締めたときに、右肘の上あたりになんか違和感を感じた。
夜中に目が覚めた。コンタクト外すの忘れてたよ。
隣でSHINがうつ伏せになって眠っている。
スースーって漫画の吹き出しが入れれそうな寝息。SHINのこの寝息の音が好きだ。
雨の音がしてるときはなおさら。
残念ながら今日は晴れた夜。
しばらくSHINの寝息を聴いていた。髪に触れたくなる。
ふと思い出して、さっき腕が触れて違和感を感じたSHINの背中が気になる。
右腕の内側に触れたから左肩あたり。部屋の灯りは消えているから、カーテンを少し開けて月明かりを入れてみる。
コンタクト着けたままだから、SHINの肩甲骨がちょっと高くなってるのまでわかった。
左の肩甲骨の少し外側に薄い紫色の大きなみみずばれみたいなのがある。
なんだろう?そっと触ってみた。
間違いない。みみずばれと言うには大きい。
肩甲骨の少し外側から左肩に向かって、3センチくらいの幅で20センチくらいの長さ。
右手の薬指と中指で肌に触れるか触れないかってくらいに、そっとその傷をたどってみた。
『・・それは銃弾がかすったあと・・』
SHINが眠っていた時と同じうつ伏せのまま言った。
ごめん、起こした?
銃弾って言った?
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