First memory 20
= memory 20 =
何で、何も答えてくれないのかな?
私、もしかしたら、今、ひとつ成長しようとしてるのかもしれないじゃない?応援してくれないの?自分のことなのに。
心の中のもう一人の私に気づいたのは小学生のとき。
同級生とコミュニケーションを取るのが、あまり得意ではなかった私は友達が少なかった。クラスでちょっと浮いた存在。当然いじめのターゲットになる。
でも内容はかわいいもので、私がいない間にちょっと教科書を隠す程度。5時間目が始まって、教科書がないことは度々あった。
私は先生に言って教科書を探しに行く。そんなバカなことをするグループには検討がついていたし、彼女たちが昼休みに行く場所なんて想像がついた。
本当は度胸なんてないから、絶対に高学年のフロアには行かない。同じ階のゴミ箱になければ、低学年の階のゴミ箱。多分、トイレには隠さない。職員室や準備室の隣だから。
そんな風に、何度隠されても私はすぐに見つけることができた。
ある日、私は担任に職員室に呼ばれた。
いじめられてることにやっと気がついたかと思ったら違った。
『授業がタイクツだから、少しでもサボろうと思って、自分で教科書を隠しているの?』
彼女の口から出たのは、信じられない言葉だった。バカだと思った。隠しているヤツらと同じレベル。
私は「違います」とだけ答えた。こんなバカには言ってもしょうがない。
ややこしいのは、担任の女教師が、父の教え子だったこと。彼女から相談を受けた父は、ある日、私に言った。
『おまえは、勉強ができるから、学校レベルの授業はおもしろくないかもしれない。でもちゃんと授業は受けなくてはだめだ。学校とはそういうものだから。』
つまり父は、私をいじめてたやつらの姑息な嘘を信じた自分の教え子を信じたのだ。
もしかしたら、自分の娘がいじめのターゲットになっているなんて、考えたくなかっただけかもしれないけど。
その時、私は父が嫌いになったし、教師というものが大嫌いになった。
ちょうどその頃から、私の中にもう一人の私が存在しだしたのだと思う。
彼女はいつも冷静だった。
彼女のおかげで、私は必要以上に人に近づかなかった。万引きをしようとか、制服のタイを売ってお金を作って遊びに行こうとかという、バカな誘いに付き合ってまで、友達もどきを作ろうとは思わずにすんだ。
集団で誰かを攻撃する中にも入らなかったし、みんなが無視を決めたクラスメイトとも平気で話した。だからってその子と仲良くなるわけではないけど。
たとえひとりぽっちになっても、自分が嫌なことはしない。危険な場所や人には近づかない。
そうして私は、彼女に導かれながら生きてきたんだ。
彼女の存在が、昔から私を支えていてくれたなら、私は彼女の助言を無視してはいけないんだ。彼女の感覚はいつも正しかったから。
でも・・・誰が考えても、一番警戒しなくてはいけないのは、今の立場、<Noon >で歌うってことなんじゃない?
ほぼ毎日のように、営業前のオカマバーにいりびたっていることとか。
そこでは出てこなかったよね?
なのに、なんで今日は出てくるのよ?いじわるだよ・・・
そこまで考えてちょっと気付いた。
違うね。〈Noon 〉で歌うことを、私の新しい挑戦を応援してくれてるから今日出てきたんだよね?
SHIN さんがどうってことじゃなくて。
今が、時がダメってことなんだよね?
そういうことにしとこ。
ちゃんとがんばるよ。見てて!
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