第一章
ザワザワと揺れる周囲の枝葉が不安感を煽る。
「きゃ……!」
近くに立てかけられていた
最早いつのものか判別すらできない、長い年月を風雨にさらされ、腐ったように黒くなった卒塔婆だった。
「珠美、ビビっちゃって可愛い」
私の悲鳴に反応した瑠璃先輩がからかうように笑う。
「ご、ごめんなさい。いきなりだったからつい……」
こんな昼間から幽霊なんて出るわけないとはわかっているけど、どうにも雰囲気に飲まれてしまっている。
“面白い場所があるって教えてもらったの。今度の土曜日に行ってみない? あたしの彼が車出してくれるから”
あんな誘いさえなければ、こんな場所まで来てこんな怖い思いをしなくて済んだのに
三日前に聞かされた瑠璃先輩の言葉を脳裏に思い浮かべ、誰にもばれぬよう息をつく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます