第一章
「嘘じゃあないと思いますよ。瑠璃先輩の話聞いて、わたしも一応調べたんですけど学校の子とかでも同じこと知ってる人いたし。老人なんかは特に、この辺には近づくなって口がすっぱくなるくらい言う人もいるらしいです」
言って、どことなく緊張した様子を漂わせる郁代。
「それだって実際はどうだかね。この道、春になって桜が咲くと結構人が見に来るわけでしょ? だったら、絶対に一人か二人はこっちまで足運ぶ人がいるよ。それで何にも問題が起きてないんだから、結局は単なる噂か言い伝えってことだと思うんだよね。なんて言うか、都市伝説みたいなもん? ここ地方だけど」
自分の台詞に自分で笑う、瑠璃先輩の声を響かせながら。
私たちは細く長い山道を抜け、広い空間へと辿り着いた。
「うわぁ、何よここ?」
広場――と言って良いのかわからないけれど――に足を踏み入れた途端、瑠璃先輩は庸介さんの腕から離れ小塚先輩の横まで進んでいく。
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