第一章

「……」


 自分の情けなさに、声が詰まる。


 仲の良い友人がいじめ同然の仕打ちを受けているのに、それを目の前で見ていながら己の保身のために止めることができない自分。


 そんな私を責めるどころか気遣ってくれる天音の優しさに、気持ちが押し潰されそうな感覚を味わう。


 ……本当に、私は最低だ。


 そもそも、始めから駄目だったんだ。


 瑠璃先輩が片思いしていた男子に、惚れられた天音。


 それに気づいた瑠璃先輩が、天音に嫌がらせを開始したのが、約半年前。


 その最初の段階で既に私はここにいる庸介さん以外の三人、瑠璃先輩、郁代、そして一番先頭を黙々と歩いている小塚こづか静鶴しづる先輩に委縮し、見て見ぬふりを決め込むことしかできなかった。


 でも、それだけならまだ良かった。


 瑠璃先輩は私が天音の友人だと知ると、私にも目をつけるようになった。


 私の場合は嫌がらせをされるようなことはなかったけど、その代り先輩たちと同じ側、天音をいじめる立場に引き込まれてしまったのだ。

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