第一章
「付き合ってる人いない? ふーん、そっか。そうだよね。それだけ男にモテてたらいちいち付き合う必要なんてないもんね。さすが天音だね。凄い凄い」
ぐりぐりと天音の頭を撫でながら、瑠璃先輩は他の仲間たちへ楽しそうに笑いかける。
「やめといてやれよ、瑠璃。天音ちゃん困ってんじゃん」
ニヤニヤしながらそう口を開いたのは
今ここにいるメンバーでは唯一の男性で、瑠璃先輩の彼氏。
最近知り合ったらしいけれど、どこかの大学に通っているくらいのことしかわからない。
色黒で茶髪でピアスを付けてて……と、私個人としては非常に苦手なタイプの男性だ。
もっとも、こんなことを口に出せば私が皆から嫌がらせを受けるのがわかりきっているため、口が裂けても言葉になんてできないけれど。
「はぁ? 何で庸介が天音のこと庇うわけ?」
「別に、庇ってるわけじゃねぇよ」
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