第一章
その笑顔から逃れるように、私は斜め前を歩く少女へ視線を向ける。
肩口まで伸ばした綺麗な黒髪が、歩くたびに小さく揺れている。
私、
優しくて、勉強もそこそこできて、手先が器用で、でも運動はちょっと苦手で。
そして、彼女の一番の魅力は何と言ってもその見た目の可愛らしさ。
控えめな性格と相まって、同学年の男子の間では密かに人気が高い。
積極的な男子なんか、廊下で話しかけたりすることも珍しくない。
だけど、それ故に弊害もある。
男子にしょっちゅうちやほやされるのを見て、それに嫉妬する女子。
こういう存在が、少なからずいる。
事実、それはこの場でも言えることだった。
「天音、あんたもさっきから黙ってるけど、具合でも悪い? 寝不足とかかな。昨日の夜は男とホテルでヤリまくってたとか?」
私の前から離れて天音にそう下卑た言葉をかけるのは、
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