第一章
上を見上げ、毛虫が這っていたら。
下を見て、毛虫が潰れていたら。
横を見て、毛虫が幹を上っていたら……。
これはもう、一種の脅迫観念だろうか。
一緒に歩くメンバーたちの会話も、ほとんど耳には入ってこない。
今私の頭にあるのは、早くここを抜け出したい気持ちとまた帰りにこの道を歩かなきゃいけないのかという憂鬱感。
想像するだけで震えたため息が漏れてしまう。
「どうしたの
突然目の前に見慣れた顔が突き出てくる。
ぼんやりとしていたせいで一瞬ビクリとなったが、どうにか平静を装うことに成功する。
「う、ううん。ちょっと考え事してただけです」
若干声が固くなっていると自覚しつつ、そう言葉を返す。
「……ふーん。ま、良いけど。今日の主役は
意地の悪い笑みを遠慮なく浮かべ、相手は白い歯を私に見せた。
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