第3話 自分の道を行くのはいいけどどう考えても早いよね?


「ふっ」


武器を調達した後、ヴェイン師匠のところへ戻る途中に何回か戦闘があったが今の自分には楽に思えた。パワー、スピード共に異様に早い鬼さんと鍛錬していたおかげで動体視力が鍛えられたらしくウルフの奇襲に耐えれるようになっていた。だがまだカウンターを決めれるようにはなれていない。


「んー……物足りない」


ちなみに今のステータスはこうなっている。


Job:魔術使い Lv.11


装備

武器1;手頃な刀

武器2;手頃な剣

頭;なし

上着;新米魔術使いの服

ズボン;新米魔術使いのズボン

靴;新米魔術使いの靴

アクセサリー1;なし

アクセサリー2;なし

アクセサリー3;なし


スキル

識別 Lv.9

鑑定 Lv.9

風魔法 Lv.13

土魔法 Lv.13

火魔法 Lv.14

水魔法 Lv.16

光魔法 Lv.13

闇魔法 Lv.14

錬金術 Lv.10

魔法陣 Lv.17

剣 Lv.14

刀 Lv.10

手業 Lv.12

奇襲 Lv.6

製薬 Lv.10


「しかし……」


家で鍛錬をするより、フィールドでかる方がレベルは上がりやすく感じるが実際の感覚とのズレがある気がする。


その違和感をヘルプで調べてみると


『体の感覚の違和感について』


ステータス=身体能力のため、実際に武道をやっている人からするとかなりの違和感があることがありますが、レベルを上げることによってその違和感は消えていくのでご心配なく。



「……まだこっちが弱いのか」


こちらの体がまだ元の自分の体に追いついてないのだろう。だから感覚とずれる。


しょうがない。



「ヴェイン師匠」


「あぁ、おかえり。ファクラくん」


「明日から夜も狩りにでかけます」


「……大丈夫かい?」


「まぁ、どうにかなりますよ」


一度ヴェイン師匠の家に戻って装備を整えてポーションの量も確認してもう一度森に出た。


帰ってきた時は夕方であたりは少し明るかったが、まったくもって今は見えない。


「ライトボール、ダークエンチャント」


空中に光の玉を常駐させ、同時に夜目を効かせるという副次効果のあるエンチャントをかける。


その時、後ろでかさりという音が鳴った。


「……」


腰に下げた刀に手をかけ身構える。そして


「シィッーー」


何かが飛びかかってくる瞬間に合わせ刀を抜いた。


「ぐわぁッ」


「……人ッ!?」


すぐに識別をかける。


バウンド Lv.27

プレイヤー アサシン


《PKが確認されました。反撃可能許可が下ります》


「チッ」


よく確認すると目の前のこいつ以外に数人の気配を感じる。ひとまず切ったこいつの首を切り落とす。


その瞬間プレイヤーがポリゴンとなって消えた。それを確認したのかほかの気配が立ち去ってしまった。


「……幸先悪いな」


PKというのは烏から聞いていた。PK、通称プレイヤーキラー。プレイヤーがプレイヤーを殺す行為を指すらしい。大抵のゲームだとそういう行為は禁止されているようだがこのゲームでは禁止されていない。だから気をつけろ、と言われていたのだが。


「遭遇はえぇな……初心者狩りってやつか」


こんなに早く遭遇するとは思っていなかった。こういうこともあるのか、夜というのは。


それからは少し気を張って奇襲を仕掛けようとしてきたモンスターにカウンターを仕掛け軽く無双げーになっていたのはご愛嬌だ。








《先ほどの戦闘で職業レベルが上がりました》


《プレイヤーが転職条件を満たしました。転職が可能となります》


「ふぅ……」


そろそろ朝になりそうになった頃、やっと転職が可能となった。


ひとまず当初の目標であった召喚術師サモナーへ転職しよう。


Job:召喚術師 Lv.1

種族レベル Lv.16


スキル

識別 Lv.13

鑑定 Lv.13

風魔法 Lv.18

土魔法 Lv.18

火魔法 Lv.19

水魔法 Lv.21

光魔法 Lv.18

闇魔法 Lv.19

錬金術 Lv.15

魔法陣 Lv.21

剣 Lv.21

刀 Lv.18

手業 Lv.16

奇襲 Lv.10

製薬 Lv.15


「ひとまず召喚術師に慣れますか」


そう言ってボックスの中からウルフの召喚石を取り出し、使用する。するとそこには灰色のウルフが地面を踏みしめていた。


《モンスターが召喚されました。設定を行いますか》


yes、noが目の前に表示される。ひとまずここはyes。


《名前を入力してください》


うーん、ありきたりなものでいいか。灰色だからグレアと名付ける。グレアがトコトコとよってきて顔を自分の足にこすりつける。


可愛いな、これは。グレアの頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。


グレアをなでながらもう一つ召喚石を取り出した。これはホークの召喚石だ。


ホークにはオボロと名付けた。何も思い浮かばなかったんだ。済まないオボロ。


その後、一度ヴェイン師匠の家に戻りポーションなど色々と片付けたり鬼と格闘技したりしてレベル上げに勤しんでいたが種族レベルは一切上がらなかった。解せぬ。


ちょっと気分転換がてらファクラは他の召喚石を確保すべく南西のフィールドに来ていた。


「召喚術師である以上召喚石は必須だからできることなら一種族につき5個はほしいよな」


召喚術師が初めて召喚するとき、モンスターを倒した時に極稀にドロップする召喚石というものが必要になる。結構な数を狩ってはいるものの、今自分の手元にはウルフとホークしかない。西のフィールドではこの二つしか手に入れれないようなので他の召喚獣がほしいとなると狩場を移動しなければならない。


「できることなら馬かな……移動が楽になるし」


一番の目的は馬、そして二番目の目的は召喚術師のカンストである。魔導師をカンストしているためかなり上がりにくくなっていたが西ばかりで鍛えていてもと思い本日は隣のフィールドに来ていたのだが。


「……山だな、これは」


南西フィールドは山だった。


「登山用品持ってないし、グレアやオボロには不利だな」


しぶしぶ引き返しそのまま南のフィールドへ入った。


南のフィールドにたどり着くとそこは草原だった。よく見ると馬もいるし鹿もいる。牧歌的なものに見える。


「一応ここが初期フィールドらしいな……で、このまま南下すると港町アークレアに出るのか」


自分と同じ装備を身につけた冒険者がチラチラとこちらを見ている。そりゃそうだ。南西から来るやつなんか少ないだろう。


「グレア、オボロ。行け」


その一言で2匹は索敵を始めた。自分は何もすることが出来ないので街道の隅で棒立ちの状態で周囲を見る。


「おらーっ」


「あ、待てにげるなっー」


初心者かなと思いながら索敵しているであろうグレアを探す。お、奥の方で馬と戦っているな。オボロは上空から支援……いい感じだ。


「……って、やらせっぱじゃいけないじゃねぇか!」


そう思いグレアの元へ駆け出し腰に下げていた刀で馬を切る。2匹に痛めつけられていたのか馬はすぐに事切れてしまった。今度はオボロに索敵をさせグレアを近くに待機させよう。


「まず一つっと」


召喚石がドロップしたのを確認するとすぐにオボロが何かを見つけたようだ。オボロについて行くとそこには小さな傷だらけの狐がいた。


??? Lv.???

??? ???


何も識別できなかったがこのまま置いておくと死んでしまうだろう。ポーチに入っている最もランクの高いポーションをかけ抱き上げる。


この場合なりふりかまっていられなさそうだ。召喚石で馬を召喚し名前をつける。綺麗な黒だったので黒雲と名付けた。


本来ならそのまま馬に乗るのは良くないが乗り、グレアとオボロには周囲の警戒を頼む。


急げ、師匠のところだったらしっかりと手当が出来るだろう。


こういう時に限って何かが起こるんだよな。


バイオレンスホース Lv.???

??? ???


名前以外見えないが様子はどう見てもアクティブ。鼻息を荒立たせ、いつでも突っ込めるようにしている。


「チッ」


狐をグレアの背に乗せ剣を持って相対する。


いつもに増して柄を握る感覚がしっかりしている。そして馬が突っ込んできた瞬間


「シッー」


剣が少し光を帯びたと思ったら斬撃が飛んだ。


斬撃は馬の首を捉え、切断した。


「……あれ?」


流石におかしくねっ、これ!


ーーーーー


「というわけで教えてくれ、烏」


『なんでそうなってんだよォォォおおお!』


何かあった時の生贄からすにコール。

あのバイオレンスホースは南のボス的なものらしい。あれを倒したら港町へ行けるイベントがあるゆえにイベントモンスターと思われていたがクエストを受けてないのに遭遇、そして撃破。


いろいろと突っ込みたいが烏は斬撃が出た理由を教えてくれた。


「技能?」


『まあ、必殺技だ。それを能動的に発動したんだろう。斬撃を放つ技能は確か剣のスキルでLv.45じゃなかったか?』


「45?そんなにないぞ?」


『さすがのお前でもないか。そりゃそうだ……じゃねぇよっ!逆に問題発生してるじゃねぇか!』


ひとまずステータスを確認するとバイオレンスホースの経験値がかなり美味しかったようで6レベも上がっていた。それにいつの間にかいくつかのスキルは30を突破している。


Job:召喚士 Lv.7

種族レベル Lv.22


スキルポイント 17

スキル

識別 Lv.22

鑑定 Lv.22

風魔法 Lv.28

土魔法 Lv.26

火魔法 Lv.27

水魔法 Lv.30

光魔法 Lv.27

闇魔法 Lv.28

錬金術 Lv.25

魔法陣 Lv.27

剣 Lv.34

刀 Lv.25

手業 Lv.27

奇襲 Lv.25

製薬 Lv.25


『なんかお前だからでいいような気がしてきたわ……』


烏にステータスを送るとそんなことを言われた。失敬な。


「じゃああの斬撃は能動発動した技能ってことでいいな」


『あぁ、それでいいわ。あと、それとさ、なんかあったらかけるって言うのはやめろよ』


「なんでだ?」


『Free.make.onlineだからだ。自分で進めろバカ』


切られた。


まあ、烏の言ったとおりだな。だが、


「あいつ、今度休んでも絶対フォローしねぇ」


その後あいつがどうなったかはわかるだろう。


ーーーーーーーーーーーー


「やーやー!【英雄王】ヒロイックロードさんや……元気か?」


声がした瞬間空を覆い尽くす幾千もの魔法が発動した。さながら流れ星に見えるが一撃でも喰らえば一瞬であの世行きのえげつないものだ。すぐさま【英雄王】と呼ばれた少年は守りの体制に入り一つの武技を発動させた。


英雄の不屈インドミタブルヒーロー


いくつか着弾するがHPは減らない。


「……無敵状態付与とかひどいにゃー」


「即死魔法を打ってくるやつよりかはましだろ……で、何の用だ。【放蕩王】ディバンチェリーロード


そう呼ばれた少女は可愛らしい顔をにやりと歪めた。


「いやね、面白いを手に入れて気分がいいんだ。だから暇つぶしに近くに見えた超越にぶっぱなしてもっと気分を良くしようと思ったけど……防がれちゃったー」


「うわぁ……おまえのおもちゃか。そいつはかわいそうだな」


「もしかしたら私を超えると思うよ」


少し真面目に少女は答えた。ピリッと空気が少し張り詰める。


「なんで、そう思った?」


「簡単なこと……私がクリアできなかったクエストに挑んでいる、それだけで十分可能性があると思うの」


「……そんなクエストがあったのか?お前がクリアできないなんて」


「さぁねーどーでしょーか……ま、ゆっくりと見ることにするしー」


「あっそうかい……じゃあ俺は帰るよ。仲間が待っているんでね」


「【英雄王】さん主導で作られた35人体制の軍団レギオン、であってるかな?」


「今回は最後の一人の回収のつもりだったんだが、用事があってできなかったんだ」


少し悔しそうに肩をすくめる少年。いつの間にか英雄の不屈インドミタブルヒーローは解けていた。いやな予感が青年の背中を伝う。


「じゃ、殺してやるちゃっちゃとかえれ


「ちょまっ」


かくして邂逅は終了した。彼らが話をした跡地は幾多ものクレーターが残されており、彼らに巻き込まれたプレイヤーはその時、その区域にいたすべてのプレイヤー、約300人ほどを全滅させた。


ーーーーーーーーーー

Name:ファクラ


Job:召喚士 Lv.7

種族レベル Lv.22


スキルポイント 17

スキル

識別 Lv.22

鑑定 Lv.22

風魔法 Lv.28

土魔法 Lv.26

火魔法 Lv.27

水魔法 Lv.30

光魔法 Lv.27

闇魔法 Lv.28

錬金術 Lv.25

魔法陣 Lv.27

剣 Lv.34

刀 Lv.25

手業 Lv.27

奇襲 Lv.25

製薬 Lv.25


|ω・){ ちょっと短め、かな?


|ωΦ*){ 少しずつだけど手直し加えてるのにゃー


補足。

時間軸ぶっちってるけどファクラくんの1日平均プレイ時間は3時間ほど。FMOの説明をしてなかったのでここで言っておきますがFMOは通常の4倍で進むので12時間くらいやってることになります。で、ファクラくんですが、まだ2週間くらいです。


通常のプレイヤー(プレイ時間同じくらい)

Job:初期職業 Lv.12

スキル平均レベルLv.18


となりますので結構異常だったりするんですけどそこはもちろんメタい話をすると主人公だからって言うのと、種族が関係してきたりします。


あと2話ほど纏めたら設定をまとめますので待っててください。


超級職を超越職に変更

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