第3話国民保護に関する情報

―首都圏某所海岸―


 洋介と美香のスマートフォンがけたたましい着信音を響かせる。

 同時に、防災無線も不気味なサイレンを鳴らす。


【国民保護に関する情報】


【航空攻撃情報。航空攻撃情報。当地域に航空攻撃の可能性があります。屋内に退避し、テレビ、ラジオをつけてください。】


【対象地域:関東全域】


「「え……!?」」


 2人は困惑した。



―戦艦大和―


 国防海軍の艦艇たる大和は、レールガンが搭載された最新鋭艦だ。

 観艦式を控え、関東の近海を遊弋していた。


 艦長席に副長が駆け寄る。


「艦長、日本国政府よりGOサインが出ました」


「おう、承知した」


 艦長の『戸村幸一』大佐が応える。彼こそが【ヤマト作戦】を提唱した張本人であった。


 息子に洋介がいるが、妻は中国軍のミサイル攻撃を受けイージス艦ちょうかいで殉職している。


 艦長はインカムを操作し、ヘリコプターで飛行中のパイロットを呼びつける。


「俺だ。息子ようすけは?」


"携帯電話の位置情報を確認……まもなくピックアップできます"


「了解」


 戸村艦長は、職権を濫用し、息子を探させていた。

東京湾に侵入したイージス艦が核を撃ちかねない状況下で、洋介のことが心配だったからだ。


 パイロットから通信が入る。


"目標を視認!……おや、どうやら彼女さんと一緒ですが……"


「お嬢ちゃんが一緒か。……2人とも拾い上げろ」


"了解"


 ヘリコプターは2人のもとへ降りていった。





 

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