8.ササヤカな日々
終電時間が過ぎた後
店に残っていたのは私と晴生の他は
オーナーと男性三人だったが
もう全員酔い潰れて床に転がり
寝息やイビキが響いている。
かく言う私も眠っていた。
テーブルに突っ伏して寝ている晴生に
寄り掛かったまま堕ちていた。
深夜。
トイレに行きたくて目を覚まし
そっと晴生から離れて立ち上がると
男たちを踏まないように階段を下りた。
戻って来る時に
二階の廊下にある押し入れから
人数分のブランケットを引っ張り出し
一人一人に被せてから電気を消す。
動き回ると暑くなって
トレーナーを脱いでカットソーの袖を捲り
再び元の場所に腰を下ろした。
真っ暗で顔はよく見えないが
晴生がのそっと上体を起こした。
「ごめん。起こしちゃった?」
ヒッソリと声を掛ける。
「あー、サヤカ?」
晴生も小声で応じた。
しばらく無言で部屋を見渡して
「水ある?」と私の頭をポンとした。
スマホの光で確かめて
水の入ったグラスを渡した。
ゴクッと喉の鳴る音がすると
晴生が液体をブフォッと吐き出した。
「お前、これ日本酒だろ!」
「ごめっ。あーもー、服にかかったぁ」
「悪ぃ」と晴生はおしぼりを私の胸元に当てた。
手が止まる。
「オーナーに胸触られるのってどんな感じ?」
「えっ、別に」
「別にって何だよ」
「マッチョが他人に筋肉触らせてるのと同じ」
「ふぅん」と濡れた部分を拭き
おしぼりを置いた。
「なら俺も触っていい?」
は?
さっき女の子が胸触らせると減るだろって
言いませんでした?
「嫌なら無理にとは言わない」
「い、嫌ってわけじゃ……ない……けど」
何とも思ってないおじさんに触られるのと
好意のあるイケメンに触られるのでは
意味合いが違ってくる。
「じゃあ」と晴生は部屋の隅の壁にもたれて
足を開いて座った。
「来いよ、サヤカ」
ドキンと心臓が跳ねた。
艶っぽく私を呼ぶ声に
吸い寄せられるかのように
四つん這いで足の間に移動する。
「向こう向けよ」
晴生は私の体を反転させると
背後からぎゅっと抱き締めた。
パチンッ。
ブラのホックが弾けた。
ぅんっ?!
外れた?外された?!
考える間もなく大きな手が
カットソーの中に滑り込んできて
支えを失った胸を持ち上げた。
だっ、ダイレクト?!
マッチョだって筋肉を触らせるつもりが
ビキニパンツに手を突っ込まれたら
言葉を失うだろう。
「柔らけぇ」とポツリと言った晴生に
すっぽりと包み込まれたまま動けず
されるがままに胸は形を変えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます