107.Sな彼女とNな彼

「ほな、コンペ終わるまで待ってるから」




「待たないでください」




「何で?」




「今回のコンペで駄目なら次回を目指します。いつ終わるかわからないです」




「ほな……」




「お断りします」




彼はふっと笑って「強情やな」と呟いた。




「悪いですか?」




「いや。でも、一人は寂しいやん」




「友達や家族がいるから一人じゃないです」




「まあ、そうやけど(笑)」




笑いながら私を抱き寄せて


ぽんぽんと背中を叩いた。




「友達や家族では埋められへんもんがあるやろ?」




囁く唇が耳をかすめると


体の奥がきゅうっと熱くなる。




「それはそうですけど……」




置かれた手の指先が背骨に沿うように滑った。




ビクリと跳ねた体が熱を帯びる。




流されてしまいたい。




「ほんまにお断りなん?」




「今の私では西川さんのペースに飲まれてしまいます。それは嫌です」




「俺あと何回お預けされんの?(笑)」




「一万回くらいじゃないですか?(笑)」




「きついな(笑)」






彼のため息と流れ星が流れた。






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