74.Sな彼女とNな彼
野本くんに触れられて
何とも言えない不快感と嫌悪感に
気持ち悪さが止まらない。
私が考えて悩んで選んだのに
心と体が拒絶した。
もう無理。
脱衣場に畳んで置いたあった服に着替えて
帰る支度をした。
「野本くん、ごめんね。気持ち悪くて吐きそうだから、今日は帰るね」
一刻も早く逃げ出したい。
「飲み過ぎ?横になってた方がいいんじゃない?」
優しいところは好きなのに。
「ううん。立ってる方が楽だから大丈夫。帰るね」
送るから待って、と言った野本くんを置いて
ホテルから逃げ出した。
暗い夜道が怖くて
街灯と人通りの多い道を行く。
遠回りしすぎたと後悔し始めた頃
私は五階建てのビルの前で立ち止まった。
『bluetwil ブルートゥイル』
目立たない看板のある玄関は閉まっているのに
二階の電気は煌々としている。
ドクンと胸が鳴る。
西川さんの会社、こんな所にあったんだ。
まだ働いてるんだろうな。
会いたい。
でも、今は会いたくない。
二階を見上げる。
すぐそこにいると思うだけで
元気がわいてきた。
帰ろう。
早足で歩く。
線路を越えて駅前から離れると
人通りは少なくなる。
ブルッと携帯が震えた。
置き去りにしてきた野本くんからだったら
どうしよう。
今は声も聞きたくない。
よし。電源を切っておこう。
表示された文字をチラッと見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます