64.Sな彼女とNな彼

「マミヤちゃん、生きてる?(笑)」




はっ、と我に返った。




「すみません。オーバーヒートしてました」





バカバカしい理屈を並べた後に



急に英語とか、発音が綺麗だとか



ずるくないですか。





「やっぱ強引すぎたか。作戦失敗やな(笑)」




そこで照れた顔をするなんて



可愛いすぎじゃないですか。





「俺、焦ってるんやろな。ごめん」




私を労ることばかりに必死で



優しすぎじゃないですか。






心は全部奪っていくのに



唇一つ奪うのを躊躇うなんて



かっこつけすぎなんじゃないですか。






「西川さんってずるいですよね」






「何が?」と言いながら



彼は足元の空き缶を拾って



しゅっとゴミ箱へ放り投げた。





カァン!





金属音が鳴って



空き缶は地面をコロコロと転がった。






「外れましたよ(笑)」




「わかってるわ。もう一回や」




拾いに行ってゴミ箱の手前から


ひょいと投げた空き缶は


すんなりと入った。





「それは、入りますよね?(笑)」




ドヤ顔で戻ってきた彼に


ミルクティーの空き缶を渡す。





「これが一発で入ったら私からちゅーしてもいいですよ」




「ほんまに?本気で?」




「く、口にはしませんよ」




「なんや(笑)。まあ、それでもええけど」





彼が嬉しそうにゴミ箱に狙いを定める。




さっきよりも力強く空き缶を投げた。












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