61.Sな彼女とNな彼

「なんでやねん(笑)。ええ雰囲気やろ?」




「ダメなものはダメです」




「んー、わかった」と彼は体を離して


ベンチに座り直した。





怒らせてしまったかな。





キスされるって思った時



拒否するでもなく



目を閉じた。




何も聞かれなければ



普通に受け入れた。




一方的にされただけなら



浮気じゃない、なんて



卑怯な逃げ道を



私はいつも探してる。






「そろそろ帰るで」と彼が立ち上がった。




私ものそりと立った。




「手貸して」と繋がれた手が何だか冷たい。




咄嗟に振りほどいた。




「どうして西川さんは怒らないんですか?」




「へっ?」




「私のこと、思わせ振りな態度だなって本当は思ってるんじゃないんですか?」




「自覚してるんや(笑)」




「面倒くさい女だって思ってますよね?」




「ははっ、そうやな(笑)」




彼はずっと笑っている。




「何がおかしいんですか?」




「マミヤちゃんは自分で気付いてんの?俺にダメとは言うけど、イヤとはいっぺんも言ってへんやろ」




「そんなこと……」




あるかもしれない。



心の奥が嫌だなんて思ってない。




「強引にイエスと言わせてもええけど、どうせ後からしょうもない彼氏に対して申し訳ない~とか言って俺から逃げるやん」




図星すぎて何も言えない。




「俺はマミヤちゃんがしょうもない彼氏と別れるのを待ってるんやけど?」




「人の彼氏をしょうもないって言わないでください」




「こんな可愛い彼女を放っとくなんて、しょうもない男やろ」




ざわざわと木が揺れている。




「私は可愛くないですし」




「俺が可愛いって言うたら可愛いねん。早く彼氏と別れて俺にしたらええのに」




「それは……」




「そしたら口が腫れるまでちゅーしたるからな」




「いっ、いりません!」










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