24.Sな彼女とNな彼

「西川くん、いいの?!」




課長がドアを開けて中に入ってきた。




「一時間の延長で良ければ、入力してデータまとめてレポート作りますよ」




ダメダメダメダメ……!


目で課長にNOを示す。




「西川くんがやってくれるなら早く終わるだろうし、ちょうどいいね」




私に気付いたクセに無視をした。




「松川課長はコーヒーでも飲んで待っててくれればチャチャッと終わらせます」




首を小刻みに振って訴える。




「残念ながら研修後は社長たちと会議だからコーヒーは飲めないけど」




「それなら会議が終わるまでに仕上げておきます」




ああああ……。




「よろしく頼むね。間宮さんと二人で手分けしてやって、完成したら彼女にデータを渡しておいて」




あー……。




「えっ?!」と彼は驚いた顔で


私へと視線を移した。




「間宮さんがテストのデータをまとめてくれるって言うから、あとは彼女から指示をもらって」




課長も私の方を見て


未完成なウインクをした。




「西川くんのことよろしくね、間宮さん」




「課長、私一人で大丈夫です!」




最後の訴えも虚しく響く。




「まあまあ、遠慮しないで。二人でやってくれたらチェックも早く済むでしょ。俺も早く帰りたいし」




しつこく拒否するわけにもいかず。




「……わかりました」




渋々と承諾した。





課長と嶋村さんがいなくなって


彼は黙々とノートパソコンを運ぶ。




全てを起動させた後


ポツリと呟いた。




「俺何かマミヤちゃんの嫌がるようなことした?」




思わずビクッとしてしまう。




彼は何も悪くない。




他の子と仲良さそうにしていることに


私が勝手にモヤモヤしてるだけ。




「何でもないです」




プイッと顔を背けた私に


彼が苦笑する。




「こいつ私を好きって言いながら他の子とイチャイチャしやがって! って思ってる?」




図星を突かれて


カアッと顔が赤くなる。




「思ってません」




「ある程度は仲良くせな仕事がやりにくい部分があるけど、貞操は守るから機嫌直して」




「な?」と彼が目の前に立った。




答えない私に微笑みかける。




「ええもんあげるから手出して」




「いりません」と拒否した手を


強引に開いて小さな石を乗せた。




青白く光る石。




何ですかこれ? と聞く前に


ドアが開いて新入社員の子たちが


入ってきた。




私は彼から離れて演台の後ろに


そっと身を隠した。










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