68.Sな彼女とドSな彼
花火大会前日の晩。
「コ……コンバンワ」
受話器の向こうのサヤカが
宇宙人みたいな声で言う。
「お前誰やねん(笑)。明日なー、車は渋滞するやろうから電車やな。サーヤん家の近くで駐車場探して車置くから駅で待ち合わせな」
時間ないから手短に。
「わざわざコッチまで車で来なくてもいいと思いますけど」
帰りに送った後が面倒くさいやろ。
「俺ん家は最寄駅から遠いからどっちみち車やからついでになー」
「はあ……」
「んじゃ、2時半に待ち合わせな?」
「早くないっすか?」
「あほ。いい場所で見るには明るいうちに場所取らなあかんやろ?」
「えー、そんな本気で見るんですか?」
「当たり前や」
花火職人の気持ちを考えろ。
「わかりました」
まだ文句を言うかと思ったけど
サヤカは特には何も言わなかった。
「ほな、仕事に戻るから」
「え? まだ働いてるんですか?!」
色々仕事以外にも用があって
終わるもんも終わらんかった……。
「んー、ちょっとトラブルがあってなあ。もうしばらく掛かるから一応明日の12時ぐらいに起きてるか確認して(笑)」
「もしかして徹夜コース?! だ、大丈夫ですか?」
「俺を誰やと思ってんねんw」
「はいはい、西川さまですね。わかりました。頑張って下さい。明日は栄養ドリンク持って行きますんで」
「いらんわ。昨日から既に高いやつ5本飲んで元気過ぎて体持て余してるくらいや」
栄養ドリンクは飲み過ぎると
色々興奮し過ぎてヤバイって知ってた?
「さようですか。頑張って下さい」
「ありがとう。ほな、また明日」
花火大会は明日。
もう逃がさへんからな。
覚悟しとけ。
ナマケモノ捕獲の二十時間前。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます