67.Sな彼女とドSな彼

亜湖との話を終え


仕事に戻る途中で


剛に電話を入れた。





「西川さん、お疲れ様です~」




「お疲れ。剛はもう亜湖と付き合ってるん?」




時間ないから単刀直入に聞く。




「あ、はい。たぶん……」




歯切れ悪いな。




「多分って何やねん(笑)」




「うーん、本当に俺でいいのかなぁと思う部分も色々ありましてですね……」




優柔不断さが亜湖を悩ませてるんか?




「もし俺のこと気にしてるんやったら気にせんでええからな?」




「それは……もう話をしたんで……」




そこは解決してるんや。




「ほな、なんやねん」




「えっ……」





剛が黙る。





二人に何があったんやろ?





「のっ、紀樹さんには一生わからん悩みが俺にはあるんです……」




「なんやそれ(笑)」




「紀樹さんは恋愛で不安に感じたことなんかないでしょ?」




あるに決まってるやろ。




「そんな事ないけど……。あれやな。剛が不安に感じてるってことは、亜湖はもっと不安なんちゃう?」




サバサバ話をする亜湖が


剛の話は言いにくそうにしていた。




「亜湖さんが……? そうっすかねぇ……」




彼女にあんな顔させたらあかんやろ。




ヒトの事を言える立場ちゃうけど。




「ハナっから上手くいくわけなんかないんやから。フォローだけはちゃんとしといたらええんちゃう?」




「わかりました」と剛が言う。






この二人は絶対大丈夫やろ。




亜湖は男前やけど



深い部分でちゃんと女の子やから。




剛は一見頼りないけど



いざと言う時は誰より頼りになるから。





なあ、亜湖。




剛はええ奴やから



いっぺん死ぬ気で惚れてみて。







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