66.Sな彼女とドSな彼

亜湖は剛と進展があったようで


再び俺を呼び出した。





「ノリ君、急に呼び出してごめんね」




亜湖の強引さもなかなかやからな。




「ええよ。相談って何?」




「その、剛くんのことなんだけど……」




「うん?」




剛は一体何をやらかしたんやろ。




「今までの彼女とどんな感じだった?」




剛と知り合った頃には


付き合ってる彼女はいなかった。



男同士で昔の恋バナなんて


よっぽどでないと話題に上がらない。




「俺も詳しく知ってるわけちゃうけど……。割と短期間で別れてるような気がするなぁ」




長く続いた事がないと言ってたっけ?




剛のあの穏やかな性格で長続きしないって


どんな変な女に引っ掛かったんやろ?と


疑問に感じてたけど……。




「そっかー……」




亜湖の憂鬱そうな顔を見れば


一概に女だけが悪いわけちゃうんやな。





「なに? 剛と何かあったん?」




「んー、剛くんと付き合おうかなって思ってるんだけど……」




決断が早いなー。



ほんま惚れ惚れするわ。




「そっかぁ。俺はもう慰めてもらわれへんくなるな」




「今なら慰めてあげるよ」




慰めて欲しい気はするけど。




「魅力的な誘いやけど友達の彼女になるかもしれん女に手を出すほどゲスちゃうわ」




女に裏切られる事はあっても


友達は一生裏切らへんからな。




「あはは。そうだよね」




亜湖がビールを飲み干した。




相談したい事は終わったみたいやな。




剛と付き合うのは時間の問題か。





「亜湖だってサーヤと同じ男を共有したくないやろ」




先に言っておくべきやと思った。




「サーヤと? どういう事??」




「もうすぐ俺の彼女になるから」




亜湖が丸い目を一段とまん丸にした。




「何それ? えっ? もしかしてノリ君の好きな人って……」




答えずにニッコリと笑うと



亜湖があんぐりと口を開けた。




「ええっ?! そうなんだー。先に言ってくれれば良かったのに……」




「内緒な」




「あの鈍感娘相手じゃノリ君も大変だね(笑)。サーヤは私にノリ君を紹介したいって言ってたよ」




「知ってるよ。あほやな、あいつは」




「あー、何か悔しいなぁ。ノリ君、私と剛くんのことはサーヤに内緒にしててね?」




「何で?」




「私とノリ君の気持ちを弄んだ罰だよ。サーヤも悩んだらいい」




めっちゃええ性格やな。




亜湖は俺を好きなんやと


サーヤに思わせたままにしろってことか。




「それって俺の告白の邪魔にならん?」




普通は友達の恋路を邪魔せんやろ。




「私のために遠慮する程度の気持ちなら上手くいきっこないから平気だよ」




おっとこ前やな。




「亜湖はすがすがしいほど強気やな。惚れてまうわ」




「あら。考え直すなら今やで?(笑)」




「せやな(笑)」




変なイントネーションの関西弁に


二人で笑った。





やったるやん。




亜湖のことも



ふなっきーのことも



考えられんくらいに



俺でいっぱいにしたらええんやろ。










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