65.Sな彼女とドSな彼

返事がないやんけ。




手を止めて横を見ると


サヤカと視線がぶつかる。



何か言いたげな様子で


こちらを睨んでいた。





何やねん。





「で、どうすんねん?」




「西川さんって……ゲテモノ好き?」




ゲテモノ?




俺は珍味グルメツアーには誘ってへんぞ。




「はあ?」




「だって……」




だってもへったくれもないねん。




「だって、何やねん?」




「何で私なんですか?」




面倒くさいヤツやな。




俺はお前を誘ってるやろ。




「サーヤも今週は土日休みやろ?」




「あ、はい」




「ほな、決まりな。時間はまた連絡する。俺は今週また現場やから事務所にはけーへんし」




「あ、う……」




何を躊躇うことがあんねん。




「嫌なんか?」




「嫌ってわけじゃないんですけど……」




「ほんなら別にもうええやろ。働け」




「……はい」




サヤカは腑に落ちないといった顔で


伝票の入力を始めた。






来年は連れてって下さいと



頭下げさせたるからな。





覚えてろ。





忘れられへん夜にしたるから。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る