64.Sな彼女とドSな彼

今日はやたら睨まれてるけど



俺サーヤに何かしたっけな……。





合コンが終わって


久々の事務所への出勤だったが


サヤカの異様な雰囲気に


世間話をしていいのか悩む。




さっさと仕事片付けたいから


別にいっか。






他の社員たちは外出中で



誰もいない。





沈黙は嫌いじゃないけど



横からジッと見られると



やりにくいわ。





「あのな……」




言い掛けた瞬間。




プルルッ




電話が鳴る。




タイミング悪いねん。





サヤカが電話を受ける。




「西川さんに。花岡さんから」




またハナちゃんか。



新米の看護師さんで


やたらパソコンでトラブルを起こす


皮膚科屈指の破壊女王。




線が抜けてただけとか


少し確認すれば分かる事すら


電話をかけてくる。



学校でパソコンの使い方くらい


習ってるはずやろ。




一つ一つを確認しながら


トラブルの原因を探って


対処法法を伝える。




「わああ。上手く行きました! さすが西川さんですねぇ」




それくらい他の看護師さんに聞いて欲しい。




「どういたしまして」




「この前は先生がねー……」




出た。



ハナちゃんのオチのない話。




受話器を肩に挟んだまま


適当に相槌を打って聞き流す。




"うんうん"と言いながら


キーボードを打っていた。




初めて任されてる大きなシステムは


出てくるエラーの数が多い。




んー、何でバグが出てるんかなー。



わからーん。





不意にサヤカが肩から受話器を外して


電話機に戻した。




「あ、あー。ごめん。ありがとう」




いつの間にハナちゃんの話終わって


電話切れてたんやろ。




「西川さん、最後全然話聞いてなかったですよね?」




「バレた(笑)? あの子の話長いねん」




「モテますねぇ」




「向こうの現場は女ばっかやからな。物珍しいんちゃう?」




取引先がやたら女の多い所ばかりなのは


うちの営業のオッサンたちの趣味か?と


聞きたくなる。




「出会いがいっぱいでいいですね〜」




嫌味か?




「別に……。あ、それより来週花火大会に一緒に行けへん?」




「私より亜湖か今の子を誘ってあげたらどうですか?」




やっぱ嫌味か?




「俺が誰を誘おうと自由やろ」




「でも……」




「ゴチャゴチャ言わんと行くか行かんか決めてくれ」




「えー……」





何で悩むねん。







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