62.Sな彼女とドSな彼
滝つぼから戻ると
亜湖と剛は服に着替えて
二人でベンチに座っていた。
明らかに飛込み前の感じとは
二人の様子は違っている。
剛は亜湖を気に入ったんかな?
「あたし、助手席に乗るね」
亜湖が言う。
ん? 亜湖も剛を??
あの短い時間で何があったんやろ。
標的を変えられるのは少し寂しい。
運転手が剛、助手席に亜湖。
二列目に幸治&沙織。
三列目に紀樹&サヤカ。
自然と座席が決まる。
三列目は狭くて腕がぶつかる。
目の前の沙織とコウちゃんは
むやみにイチャイチャしている。
沙織の携帯を二人で見て
顔を寄せ合って
今にもキスしそうな。
明らかに胸を押し付けてるのも
エロ過ぎる。
我慢できずにサヤカに耳打ちした。
「何か……沙織ちゃん、エロいよな?」
サヤカが笑って頷いた。
「西川さんは沙織みたいなタイプはどうなんですか?」
そういうタイプも嫌いじゃないけど。
「エロい子は好きやけど、彼女となると違うかな〜とは思うけど」
「変態」
「変態じゃない男なんかおらんわ」
「やっぱ彼女にするなら亜湖の方がいいですよね。このままじゃ剛くんが落としそうですよ? いいんですか?」
「まー、好みのタイプを必ず好きになるわけちゃうやん?」
「そうです……ね」
「俺は剛もコウちゃんも上手くいって嬉しいし、別にええねん」
「そうですか」
車の揺れが眠気を誘う。
慢性睡眠不足が睡魔に勝てない。
いい夢を見ていた気がする。
柔らかくて温かい。
居心地のいい場所。
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