57.Sな彼女とドSな彼

暑い夏。




女は合コンに自分以下の女を


連れて来るって言うけれど


それは嘘やと思った。





コウちゃんと剛には事前に


さほど可愛い子は来ないと思うで、と


念を押していた。



普段からお洒落に無頓着なタイプの


サーヤの友達が可愛いとは


考えにくかった。





「サーヤがべっぴんの友達を連れて来るとは想定外やな!」




待ち合わせ場所に立っていた


サーヤの友達は華やかな雰囲気で


イイ女の部類に入ると思った。




セクシーな沙織とキュートな亜湖。




これやったら


コウちゃんも満足してくれるやろ。




バーベキューの提案も


水着に着替えて川遊びする提案も


快く受けてくれて


彼女らも楽しむ気満々やし


上手くいきそうな気がした。





川原に着いて早速セッティングをする。




「俺は今は彼女とかいらんから。あの子らと喋っててええよ」



幸治と剛に言った後


サヤカを呼びつけた。




「ちゃちゃっとやるから手伝え」



「はいはーい」




黙々とコンロを組み立てて


炭を入れて火を付ける。




何も言わなくても


サヤカが必要なものを


次々と手渡してくれる。




その様子を周りがニヤニヤと見守る。




何や?




剛と幸治がコソコソ話す。



「二人は既に出来てるとか?」



「怪しいよな」



めっちゃ聞こえてんねんけど。





すかさず沙織がサーヤに向かって言う。




「なになに? 二人もしかして付き合ってるとかじゃないよね〜??」




サーヤが「あはは」と笑って否定した。




「んなわけないよ(笑)」




あっけらかんに言われると



俺でもちょっと傷付くんやけど。









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