51.Sな彼女とドSな彼

「サーヤ、京都行かへん?」




合コンまで日にちがある。




せっかく取れた休みやから


遠くまで行きたかった。




「きょ、京都ですか?!」




"遠い"と顔に書いてるけど。




「そう。昔行った事があんねんけどな。願い事が叶う寺があんねん」




サヤカがぷっと吹き出した。




「え〜? 西川さんって神頼みとかするんですか?」




失礼やな。




俺の家は神道しんとうやし。




「あほやな〜。神と仏は違うやろ。ほんで俺の行きたい寺はお地蔵さんが願いを叶えに来るんやぞ」




「お地蔵さん?!」




サヤカが笑う。




「お地蔵さん舐めんなよ?! めっちゃ願いを叶えに来てくれるんやからな」




願いは毎回叶っている。




やけど


前回のお礼参りが済んでない。




「そうなんですか」




サヤカが笑いを堪えながら応える。




「な? 合コンが上手く行くようにお願いしに行こうや。サーヤもそろそろ新しい彼氏欲しいやろ?」




ふなっきーはもうええやろ。




「えー、別に欲しくないです。それに京都って何時間掛かるんですか……」




まだ言うか。



だいたい


車を運転するんは俺なんやから


グダグダ言うな。





しゃーないなー……。




「俺こないだ誰かさんの書類作るん手伝ってやったよな?」




「はい……」




「パソコンの使い方も教えてやったよな?」




「はい……」




「クソ忙しいのにコピー機の紙詰まりも直してやったよな?」




「はい……」




「それから……」




「わかりました! 行きます。ぜひとも行かせて頂きます!」




決まりやな。




久しぶりの京都、楽しみやな~。









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