52.Sな彼女とドSな彼

天気は晴れ。




朝の風は心地良かった。




空は抜けるような青さで



否が応でもテンションが上がる。






「おはようございます」




サヤカが助手席に乗り込む。




「おはよ! ええ天気やなぁ。ほな行くで」




サングラス越しに見れば


ナマケモノもちゃんと人に見える。




やけど


女はスカート以外はくな、と


あれほど言ってんのに


色気のないジーンズを


ダボダボにはきやがって……!






サヤカがふと視線をこちらに向けた。




「香水?」




すぐ気付かれるほどには


つけてないと思ったんやけどなあ。




「意外と鼻が利くんやな」




「好きな匂いと嫌いな匂いには敏感なんで」




「好きと嫌いとどっちや?!」




サヤカは質問をスルーした。




「普段はつけてませんよね?」




「気分によりけりやな」




事務所に行く日はつけない。



男ばっかりやから


人工的な匂いを足したくないやん。





BGMは好きなバンドのロックを流す。



テンション高く口ずさむ。



むしろ本気で歌う。




「眠かったら寝ててな。気にせんでええよ」




サーヤは朝弱そうやしな。




「ありがとうございます。じゃあ、静かにしてもらえませんか」




なんやと?!




「あほ言うな。文句は寝てから言え」





サヤカが「無理!」と言って


くだらないお喋りを始めた。




CD聴いてるんやけど。





なんやかんやで予定より早く到着した。




駐車場に車を停めて歩く。




前に来た時には


あの辺にハナミズキが咲いてたのにな。




懐かしい景色は


新しい景色の中で少しずつ


色を変えていく。





既に長蛇の列が出来ていた。




「わー、すごい人ですね」



驚いて言うサヤカと二人で


一番後ろに並んだ。






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