第16話 いざ、戦場のホールへ

「○○番、パチンコ、発生しました」

「8コースフォロー行きますー」

「4コースから交換です」

「スロットメダル交換フォローくださいー」

 インカムが絶えずこだまする。流石1000台規模の店、それなりに忙しかった。

新人は大して何もできず、出来る事といったら箱おろし、玉交換くらいなものだ。

そして、目の前のランプが光る。


今では私もホールに出て1年半は経ち、大体の事は台に着く前にお客様が何を求めているのかが分かる。云わば経験則だ。大当たり中の台が箱をパンパンにしてれば99%箱おろしだし、台が赤点滅(しないのもあるが)してれば裏詰まり(玉が詰まってしまい玉が出てこない状態)だし、玉カップもってれば煙草のおつかいだったりと、そんな感じだ。


私は客として、箱おろしのサービスを受けた事がある。

ランプを押せば店員が来る。箱を下してもらい、新しい箱が用意される。

ただ、これを自分が店員になった時、お客様に対して同じことをすればよいだけなのだから。


目の前のランプは箱おろしという事が分かり、緊張しながらもそれをこなし、気が付いたら1日が終わっていた。


果たして俺は、この先うまくパチンコ店員が務まるのであろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る