第2話 ミアはいつもボクサーブリーフである。
口をとがらせて、焼き魚の子持ちシシャモを頭からかじり、オレはさっきの新聞のチラシに手を付ける。
組織からの
眼球に熱が伝わり一族、特融の瞳が現れはじめる、黒い瞳から深い藍色に。
異質の紙は文字を浮かびはじめてきた。
その紙にすべての情報が浮かび上がるのを確認して読もうとしたら舞さんの冷たい口調が飛んでくるじゃないですか~なんですかー食事中のしゃべりすぎはマナー違反ですよー舞さん。
「瑛斗……あなた何を見てるのよ?」
え…と、内心鼓動が脈をうった。
まさか見えてるとか?ありあえないのにピンポイントに怪しまれて言葉が詰まった。
「…な…何って?」
舞は、怪訝そうに、そして目が冷たくなっていく。
それを見て、えええ?なんだよ?異質で異様な紙に再度、確認するために青から黒へと目の色を変えて見ると。
「………」
「………」
【システムメッセージ】舞は静かにこちらの様子を伺っているようだ。
オレはそれをみてどう言い訳しようかと考えることでいっぱいで、どうでもいいことを、考えてしまう。
異質で異様な紙と舞に視線を交互に送り、言葉を失っていると舞の表情が変わっていく。
肘をついて、その上に顔を乗せて、悪戯に、小悪魔な笑顔を見せてくる。
「まぁ、瑛斗も男の子ですし、そんなのを見たいお年頃ではあるのだけど、朝からそれを堂々と、みることはないんじゃないかしら?」
「いや…これはそのぉ……間違いというか?」
「へ・ん・た・い」
「違うから、違うよ、決していやらしいぃ意味でみてたわけじゃないぞ」
もう舞のへんたい発言で頭がパニックになる。
そして心のどこかで舞に罵られて喜んでるオレがいた(マテ
「一応、年頃の女性と一緒に暮らしてるんだから、惜しげもなく、女子のランジェリーのチラシを見て、し・か・も、ハァハァしながら、見ることはないんじゃないかしら?」
わー、いっちゃったよ、知られたくなかった。てか、ハァハァしてないだろ。何ついでみたいに言ってんだ。
決してこれには作為的というか意図的というか仕組まれてるだろこれ…いや仕込んでるだろ…。
もう頭の中、大パニック、錯乱中にも関わらず、舞はさらに追い打ちをかけてきた。 いや、これは畳みかけるといってもいい。
「まぁあ、瑛斗の部屋を掃除したついでに、本棚の中や、ベッドのクローゼットの奥に隠してある、雑誌やDVDは金髪でおっぱいおっきい女性しか映らないから安心はしてたけど、とうとう下着までに興味持つなんて…」
DVD観てんじゃん、趣味じゃないけどな、金髪とか。
オレの趣味じゃないけど…、金髪なんて…
金髪とかミアだけでいいし、巨乳もミアだけで…ミアだけで…
あれええええ????趣味じゃぁぁあぁぁん
ムンクになってる場合じゃない、オレの沽券が危うい。
「ないから~~そんな性癖ないから…。…おい、さらっと流そうとしたけど、なんで隠し場所、知ってるんだよ、細かく、正確に、クリーンヒットしてるゾ、そんなとこまで掃除しなくていいだろ」
「あら、ひとつ屋根の下に暮らすものとしては、義務だと思うのだけど?」
苦しんでるオレに権利の主張かよ。
「プライバシーの保護を訴えたいわ」
「そうね、あなたにもそれくらいは必要よね、でも私はこわいの」
しおらしく、それもわざとらしく……わかってはいるがわかってはいるが……
「…ぉい…舞……」
「私的財産の侵害の恐れを感じます」
「いらねええっつってんだろぅ」
舞の表情に赤みを帯びて、興奮冷めやらぬといった感じでオレを見てる。
なんですか~楽しくて楽しくて仕方ないみたいな顔するな。
かくなる上は信用回復に務めよう。
「わかった、エロ本やDVDは捨てるから、今日中に廃棄するから」
今度からミアを愛でよう…
「…なに泣きそうな顔してるのよ…私の下着に手を出さないって血判くれればそれでいいのよ?」
誤解とけなてないいいいい。
しかも血判ってなんだよ。誓約書書かせるきでいるじゃないですかー
「下着なんていらないから ほしく無いから」
もう冷静に抵抗しよう…。
舞はさらににやけて。席を立つ。
そぅ……新品はダメで…洗い物でもダメ…?
それじゃぁとスカートに手を突っ込んで…。
「脱ぎたてがいるのかしら?」
ちーんと頭に何かが鳴った。白目をむきそうだ…。
「あら、時間だわ。…ここまでにしてあげる」
彼女はいつのまにか食事を終えて、皿を片していく。
そのまま自分のいる部屋の棟の入口までいきこちらを向いた
「ほんとにいらない?」
吐血
疲れ果てたオレは、舞をみないで飯を食うことにした。
彼女はクスクス笑いながら自分の部屋に向かってた。
「はぁ~~~~、やられた…久々に追い込まれた…」
そう言いながら、冷蔵庫にケーキを取りに行った。
ちゃんと買ってあるな…舞さんあざす。
と呟きテーブルにもどり椅子の前においてあげた。
しかし、いつもならその場にミアが現れるのだけど、ケーキの皿がオレから離れていていきちょうど、斜め向かいで止まった。
[この家の住人にはうちが見える]
ミアの声だけが聞こえる。
ケーキの前の椅子にすぅ~っと姿を現す。
「なんだよ、ミアそんなに離れて…」
*
ミアと呼ばれた彼女の容姿は、金髪で背丈に近いくらいに髪が長く、それ以上にオレたち人間とは違う、特に耳が長い。
ファンタジーの中に出てくる、エルフのようにとんがった耳だ。
*
「その…うちはあげないよ?」
頬を染めて、ミアの小さな手じゃ余りある胸を両手で隠すように言ってくる。
なんですか…ミア、舞に感化されすぎではないですか?
「いらないし、おまえつけてないじゃん」
「でも、下は履いてるよ?」
女物の下着なんて買えるわけもなく、ずっとオレのボクサーブリーフを履いてらっしゃる
「ああ、オレのだけどな…」
*
ミアはまだこの世界に来て1年だ、この世界の常識は最近になって一般レベルになったようだ。
それまで知識を貪るように、本という本を読みつくしていた。スポンジのように知識を吸収して、今じゃオレよりも博識なんじゃないかって思う。
*
ミアがおいしそうにケーキを頬ばる姿はかわいい、人形のように、舞とは違う綺麗さとかわいさを兼ね備える。
「オレにも一口くれ」
まさに本から出てきたような存在。そんな彼女に見惚れてると、あーん、と、いいながら自分のケーキを分けてくれる。
「うん、うまいな」
「ねー」
と外観的に舞と変わらない彼女は容姿と違って話し方が少し幼稚くさい。
おかげでディスられることが少ないし、何より、オレの良きパートナーで最終兵器。
*
彼女もオレもこの世界からしたら異質で違う世界の住人だ。
オレの能力も大概だが、それ以上にミアは異常にして最強、それはもう実証されてるがその話は長いので割愛。
能力に関しては、簡単なんで説明できる。
端的にいって『チート』です。この世界でもよく、ゲームなんかで利用者がバグや意図してプログラムを利用してありえないことをする人たちをチートと呼ぶらしいが、そんな感じで、ミアもそうだ。
『言葉』一つで世界を支配してしまえるほど強力ではあるが、制限があるのはあるがこれも割愛、欠点があるけれど、悲しいかな、自分にはそれが適用されない。
簡単な例をあげると、ミアが透明になりたいといってもミア自体は透明にはなれないのだ。
単体か不特定多数(限界はあるらしいけどこれも割愛)の誰かに対してのみその能力が適用されるだから、[誰も私を認識しない]、といえば誰もミアを見ることができなくなるわけだ。
もう少しいうならば、誰かを介さないと使えないということだ。まぁ最強にして最弱な彼女はきっといつかドラゴンに変身すると信じている。エルフの村を襲ってくれてもいい。
余談だが、前回、オレの布団で丸く膨らませてたのは、ミアだ。舞はミアが住んでる事を知らないから、もしもの場合に備えて日々、認識されないようにしてもらってる。
*
ミアの事を考えていたら、どんっと背中にケーキのように甘い香を体重事、乗せてくる。
「あきと…学校いこ?」
ミアのクリッとした大きな瞳がオレの顔をどアップに映し出されてる。
「ああ、いこう」
胸柔らかいな~
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