Root's
藤
第1話 幼馴染は家政婦
非現実の生活と現実の生活が、存在するとするならオレは、今この生活が非現実である。苦渋苦難なんて言葉が当てはまるほど、この非日常はめんどくさいことこの上ない。
それをもう17年繰り返してるから慣れてしまいたいがそうもいかない。
なぜなら非日常と日常を交互に送っているのなら自然とどちらがいいなんて比較してしまうものだ。
この非日常こと非現実も残すこと1年だ。
―― 4月
新学期早々、先日の『
おかげで体の疲れが取れないまま、ベッドの上で寝返りを左右にうっている。
寝返りをうつたびに、まだ治りきってない傷が身体に、激痛を走せる。あまりの痛み、呻きそうになるのを堪える。
どうしようもなく起きたくない気持ちでいっぱいだ。
その気持ちをどうやら納得してくれない1つの物体がオレの頭上あたりで鳴り始めた。 ジリリリリ・・・・
嫌ぁ~もうぅ・・手加減してください、
この非現実な生活は契約上今年いっぱいなんだ・・・・がんばれ、オレと心でエールを送ることにして、また深い眠りにつくことにした。
『瑛斗くぅ~~~~~~ん』
ダメなようだ。ベッドの寝台端に備え付けの内線電話が強制的にオンライン化されている。
『瑛斗くぅぅぅん、いい加減に起きてくれないかしら?』
甘ったるい声で、少し苛立ちを混ぜて、再度通告をしてくる。仕方なく、ベッドにうずくまったまま、電話のハンズフリーのボタンに手を伸ばしポチッと押すことにした。
この起床勧告は、3回目には罰金が発生するので、起きることにした。
「・・・・・はぃ・・・・お・・・きてます」
なんとか応対しようと必死に声をだす、声をだすだけでも身体の節々にいたいっていうのに、いたわりの言葉はない。当然なんですけどね~
『起きてますじゃなく、起きましたでしょ、日本語を間違えないでほしいわね』
「はい、ごめんなさい」
つらそうなのは、寝起きだけというのアピールしなければと、流暢に返答する。
『いいわ、ごはんできるから、さっさと起きてきてくれるかしら?』
「はい」
そういうと、一方的に切れた。
オレは、ベッドの端で、丸くなって寝てる物体を見える。
正確には、布団が丸く膨らんでるだけにしか見えてない。
布団をめくり、やはり見えない、まぁいつものことで、そう#指示__いいつけ__#してあるからなのだけど、起こしても今は下にきても困るだろうしな。
と思い、再び布団をかぶせ、痛い身体を鞭をうち、非現実の生活を始める決意を固めた。
なんとか身体の痛みを堪えて、学生服に着替えて、階段を下りていく。
「あー、ミアに【言葉】をかけてもらえばよかった・・・・」
その間も、ズキズキと悲鳴を上げる身体をおさまれ、おさまれ、とミアのように声だけで痛みを抑えれたらなってできもしないことを思いながら、共有スペースに向かう。
「そう、起きたのね、残念だわ・・・・」
オレは言われた通りに起きたのに、なんで残念な顔する、毎回、毎日。
日課なのか?デイリーなの?ポイントもらえたりしてる?
なんて不服をいうと飯が食えなくなるので言わないが。
俺たちが住む家は2つあり、それぞれ別館になっている。
1F、中央に共有スペースがある。共有リビングだな。リビングに入るといい匂いが漂っている。
いつもいつも、ご苦労さんと感謝をしてリビングに足をいれる。
毎日毎日、365日オレたちのために料理や洗濯といった家事をこなしてくれる、家政婦学生がいる。
「おはよ、舞」
綺麗なストレートヘアーをなびかせながら出来上がった料理をテーブルに運んでいる彼女に挨拶していつもの席につく。
*
彼女はさっきも言った通り、高校三年間、同じ家に住むことを条件にこの家の家事の一切をしてもらってる。
その分、オレが給料を支払うようにしている。正当な働きには対価を。
もちろんお金が組織から。あー組織も後程な・・・。
*
次々と料理が並べられて、朝からなのに、意外と料理が豊富なのは、どうしてなのかさっぱりだ。疑問に思っても仕方ない、給料をもらっている以上しっかり作ってくれてるんだろうなと納得するしかない。
「洗濯ものできてるから、部屋戻るときに持って上がってね」
「はいよ」
いや~素晴らしい家政婦学生だこと、改めて感謝。
料理も並べ終わり、彼女も席につき、手を合わせてくる。オレのそれに合わせて、手を合わせる。
「「いただきます」」
味噌汁に手を伸ばし、一口、うまい、本当にうまくなってくな~と感心してしまう。
「うまいよ、舞」
必ず、作ってくれた彼女に毎朝、お礼をいう。たとえオレが彼女の雇い主でもお礼は大事だと思うんだよ。
「そう、それならよかった」
彼女はいつものようにそっけなく、少し、頬を赤くして照れているのを見るのも、ちょっとした楽しみであったりする。
お互いごはんを食べながら、オレは料理が並ぶ、端においてある新聞に手を伸ばす。
別に経済や政治に興味があるわけじゃないんだけどね。
目的は、その折り込みであるチラシである。
それがオレの現実で、日常生活、学校なんて行かなくてもいいのに、行かされてる。
あーやっぱりあるな~、組織からのお手紙きてるわ。
異質に異様な紙質、#指令書__イレイス__#それに目を通すつもりが、
「ふぁ~」
思わずあくびが漏れる。
「なに?またバイトだったの?」
卵焼きを食べながら、彼女は横目で確認してくる。
「ん、まぁそうだな~」
ほんとのこと言えないからバイトとしか言えない。
「学業に影響与えないでよ」
「手遅れだしな~」
思わず、正直な気持ちが漏れてしまう。
「おじさん、おばさんに顔向けできないからちゃんとして」
「ぅ・・・」
放置されてるから、気にしなくていいよ、なんて言えないが…。
「それにしても最近疲れすぎじゃない?」
あら、本当に心配してくれてるみたいだ。
たしかに、最近の仕事は歪の異常な強さに身体がボロボロで疲れが取れない感じだ。
そんなことをしている事をしらない彼女はただ単にバイトなんて思ってるんだろうな。
これもそれも全部は彼女、#舞のため__・__#である。原因はオレたちが勝手に作り出し、#生かし__・__#続けてる。
そのお目付け役として、存在しているオレなわけだけだが、それを嫌だなんては思ってはいない。
舞がこの世界で生き続けるためなら、セカイを壊し続けても進まなきゃいけない。
彼女にはオレと違う将来を決めた人がいたとしても、それでもオレのやることは変わらない。
幸せであってくれれば、それでいいんだから・・・・。
なんて自己陶酔に浸ってると、頭を小突かれた。
「ちょっと、心配してんだから返事しなさいよ」
「わりぃ、考え事」
ごまかすように、白いご飯を頬張る。
「それより給料は今回もちゃんと振り込まれてた?」
「え、なによ 突然」
「いやぁ 雇用主としては、ちゃんと振り込まれてるかたまには確認しないとな」
「はぁ・・・大丈夫よ、別に給料なんていらないから、バイト減らしたら?」
変えたつもりなのに、結局そこにもどる・・・・舞さんやるな・・・・。
「いやいや、オレの生活をタダで支えてもらうのは、そのほら、許嫁に悪いだろ?」
「別に、あの人もそんなことで怒ったりしないわよ、あなたよりしっかりしてるから」
最後の余計ではないしょうか?なんて思ったけど、まぁ言い返すことができない、朝起きることすらできないのだから・・・・。
「ソウデスネ」
「ふふ・・・」
すねるオレをみて喜ぶとかどんなシナプスが働いてるの?
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