和歌山というか、僕の実家では、梅、みかん、柿、桃は買うものではなかった。

和歌山は地味で名産物が少ないように思われていて、近畿地方のおまけなんて他県では言われているけれど、和歌山県民はあまり何も気にしていない。

そういう、呑気と言うか能天気な気質に果物もストレスフリーで美味しく育つのだと思う。

南高梅は日本全国、名が知れているけれど、関東の方ではなかなか手に入らない荒川の桃、九度山の柿、みなべ町のみかん。僕は日本一だと自負している。九度山の種なし柿。つやつやに光ったダイダイの皮に、夏の河童の皿をのっけたような緑のへた。これが届くと秋の到来を感じる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る