この国には四季以上に季節がある。

僕は、梅の実がたわわになる夏を迎える時期がもしかすると、一番好きかもしれない。

僕の実家には梅山があり、幼いころから、この時期になると家族総出で梅の収穫に駆り出された。

鬱蒼と茂る雑草と水をよく吸った土に夏がすぐ其処に来ていることを知らせる。

大空をいっぱいに広げるその手は、春先に健気な田舎娘の頬のように咲いた花の面影を、美しく実らせた玉の上に面影を載せる。


この国には四季以上に季節がある。僕はこの初夏の色が好きだ。

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