私を思って (短編)
文目みち
(1)
「これは、あっちだよ」
隣で手を泥んこにしていた
その場所にはすでに小さな窪みが作っており、ポリポットを外して苗を置くだけでほとんど終わり。最後にシャベルで軽く土をかぶせれば問題ない。ただ、この作業を何度も繰り返す。それに僕は
「パンジーは、色んな色の種類があるから、こうして好きなようにデザインができるだよ」
僕のことを監視しているのだろう。仕方なく、僕は手を動かした。
校庭から賑やかな声が飛んでくる。貴重な昼休み削って、僕ら美化委員は花壇の花植えをしていた。
ここ鴻巣市立屈巣小学校は、花いっぱいコンクールという賞で優秀賞を受賞した経歴があり、それ以来、花壇には鴻巣市の花でもある色とりどりのパンジーなどが校舎を彩っていた。その作業をするのが上級生で組まれた美化委員と担当の広田先生だった。
毎日の水やりに定期的な植え替え。これが美化委員の仕事。それを貴重な昼休み、時には放課後を使って行う。僕は明らかに選択を間違えた。昼休は仲の良い友達と校庭で遊ぶ毎日だった。それが委員会のせいでできなくなった。初めから知っていたら絶対に選ばないのに。
「もう、こんなもんでいいっすか」
「うん、そうだね。それじゃ――あ、ちょっと」
広田先生の制止も聞かず、僕は駆け足で水飲み場へと向かった。時計を見ればまだ昼休みは10分残っている。まだ遊ぶ時間は残っていた。ひとまず手を洗い水分補給をする。それから校庭でサッカーをしている友人たちに交ざった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます