02-8
自分の気持ちに正直になってすっきりしたところで、嘉寿はパソコンの前に座り、起動させる。
OSが立ち上がり、るみなのボイスが流れるという流れを繰り返す。そして、ブラウザを立ち上げて、昨日放置したファインディアにアクセスする。とりあえずトップページをお気に入り登録する。
メールアドレスとパスワードを入力してページに入る。
裕哉が言うコミュというのをのぞいてみることにした。理由は簡単。個人でるみなの情報を網羅するのは正直無理に近いから。
だけど、危惧ももちろんある。アンソロジーと一緒で、誰が一番るみなを愛しているかの話になったとき、それを気にせずやっていけるか。
だけれども情報は欲しい。葛藤だった。パソコンは、Kazuのトップページのまま数分が流れた。とりあえずそういう心配をするよりもどういう集まりがあるか見てみようという結論になる。
検索ボックスに「神姿るみな」で検索をかける。すると、大人気なのがよくわかるように三十四件ヒットした。
人数が多い順に見ていくと、『るみなの七転抜刀』全体のコミュだった。嘉寿はそれをスルー、キャラ別のコミュを見ていく。大小さまざまで、千人を超す人の参加するところもあれば、かろうじて十人を越えているようなところまで様々だった。
嘉寿は、千人を超す人が入っているコミュを選択し、参加の意を示した。自由に参加できるらしく簡単に、嘉寿のトップページにそのコミュのトップ絵、るみなの立ち絵が表示された。するとそのコミュの更新も表示され、最近では、「はじめまして」と、「再婚について」というトピックスが更新されたようだ。
試しに、はじめましてのトピックスをのぞいてみる。千人以上いるのにまだ、六百八十過ぎで止まっていた。必ずしなければならないというものではないらしい。嘉寿はスルーすることに決めた。
だが、ここに書き込んでいるのはやはり猛者ばかりで、結婚してますの字があちこちで踊っていた。それらを複雑な思いで眺めていく。ここに書き込んで同じように結婚しますと書いても彼らと同じようにしか見えないはずだ。自分の中では自分が一番愛していたいという嘉寿の思いを傷つけるものになる。だから、自分は見てるだけにしようと思った。
そこで、美作在住で友達を求めている書き込みを見つけるが、るみな好き同士で仲良くもなれないだろうし、オタクだろうからと放置した。
次に再婚についてのトピックスを見た。まだ立ったばかりらしく書き込みは少ない。メインの立てた人物の言い分を読んでみる。
柳眉をひそめ、嘉寿は不快感を露わにした。簡単にいうとこういうことだ。
女性は、子供の問題があるので離婚から半年は結婚できない。これは、一部で子供に戸籍が与えられないなどの問題になっているが、いいたいことはわかる。
だが、なぜに、男性が二次元と結婚、すなわち「にじこん」をした場合も同様に離婚後半年は再入籍できない決まりになっている。女性は、上記の理由も含めできないのに変わりはない。
それが不満だというのだ。
嘉寿は一笑に付した。離婚を前提に結婚をするなどそれがそもそもおかしいし、結婚というもの自体ファッションのように着せ変えるものではない。お互いがお互いを高め合っていく。そうして、二人でなくてはいけない世界を構築する。それが結婚だと思っている。
別に好きな人ができたら、別れて次というのは明らかに異常だ。
「人間の例で考えればすぐわかることだろうに。だからオタクは」
そうため息をついて、その日はファインディアからログアウトした。
ちょうど、母親が食事の時間であることを告げてきたので、パソコンの電源を落として一階へと向かった。
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