第9話 手紙
----------------------------瑞希へ
突然ごめんね。瑞希に伝えたい事がまだまだ沢山あるんだけど、時間は待ってくれないみたいだから手紙を書きました。
今これは病院のベッドの上で書いています。
瑞希とは小さい頃からずっと一緒だったね。
あたしは昔からいつも瑞希に文句ばっかり言っていた気がします。
「もっと男らしくしろ」とか「もっと強くなれ」とかね。
それで喧嘩とかもよくしたね。ごめんね。あたしはちょっと普通の女の子より気が強かったから。笑
でもあたしは瑞希のこと、本当に優しい人だと思っています。
優しい人なんて、この世界にはいっぱいいるけど、瑞希みたいに本当に心が優しい人はあんまりいないと思います。
そして、そんな瑞希のことがいつの間にか好きになっていました。
今ではもっと早く言えばよかったなーって後悔しています。
二人で水族館とか、遊園地に行ったりするのが憧れでした。
でもこの気持ちを伝えたらあたしたちの関係が壊れちゃうんじゃないかって怖くて、言い出すことが出来ませんでした。ごめんね、ちゃんと言えなくて。
でもあたしにアカガミが届いたって瑞希が知ったとき、
普段あんまり泣かない瑞希が泣いてくれたよね。
本当に嬉しかったです。
でも同時に、そんな瑞希の前からいなくならなければならないあたし自身の運命を呪いました。
病気のことはもうお母さんから聞いちゃったかな?
それも黙っていてごめんなさい。
もうこれ以上、瑞希には心配かけたくなかったんだ。
アカガミにも、病気にも命を狙われてしまうなんて、前世でとんでもないことでもしたのかな。笑
実は怖かったし、苦しかったし、悲しかったです。
なんでこんなことになっちゃったんだろうって毎日泣いていました。
でも瑞希がそばにいてくれて、本当に心強くて、気持ちが少しだけ楽になりました。
だから今は残りの4日間を思いっきり生きたいって思ってます。
明日も瑞希は来てくれるみたいだから、とっても楽しみです。
車椅子になっちゃったからあんまり外出はできないけど、一緒に綺麗な空が見たいなぁ。
本当はもっともっと一緒に居たいんだけど、あたしはこれから多分死んでしまいます。
わからないけど、友達とか、家族とか、きっと悲しむかなって思います。
その時には、優しく励ましてあげてください。
幽霊になってみんなのこと見守ってるよって言ってあげてください。笑
あ、もちろん瑞希のこともちゃんと見てるからね?
あたしが死んだことで、きっと瑞希は悲しんでしまうと思います。
それはあたしからしたら嬉しいことだし、ありがたいんだけど、
瑞希にはこれからもちゃんと生きてほしいです。
瑞希は割と生きることに関しては不器用だから、
いっぱい悩んで、
いっぱい苦労して、
いっぱい挫折して、
いっぱい落ち込んで。
いっぱい笑って、
いっぱい楽しんで、
いっぱい幸せで、
いっぱい幸せになってほしいです。
あ、あたしからの最後のお願い、いいかな?
たまにはあたしのこと、少しでも思い出してくれると嬉しいな。
辛い時でも、悲しいときでもいいです、もちろん嬉しい時でもね。
あたしのこと忘れないでいてくれたら、それだけであたしは充分幸せです。
こんなあたしとずっと一緒に居てくれてありがとう。
ちゃんとあたしの命と向き合ってくれてありがとう。
本当に瑞希と出会えて良かった。
心から瑞希のことが大好きです。
今までありがとう。
さみしいけど、さようなら。
藤代唯より。
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